遣欧少年使節の足跡、写真と文化財でたどる 米国在住の杉本博司さん撮影 27日まで、県美術館で企画展 [長崎県]

《元和8年、長崎大殉教図》(1622~32年頃、作者不詳・マカオ)イタリア内務省宗教建造物基金(ローマ、ジェズ教会)
《元和8年、長崎大殉教図》(1622~32年頃、作者不詳・マカオ)イタリア内務省宗教建造物基金(ローマ、ジェズ教会)
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《天正遣欧少年使節肖像画》(1586年、京都大学附属図書館)
《天正遣欧少年使節肖像画》(1586年、京都大学附属図書館)
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杉本博司さんの《パンテオン、ローマ》2015年(C)Hiroshi Sugimoto, Courtesy of Gallery Koyanagi
杉本博司さんの《パンテオン、ローマ》2015年(C)Hiroshi Sugimoto, Courtesy of Gallery Koyanagi
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杉本博司さんの《螺旋階段2、ヴィラ・ファルネーゼ、カプラローラ》2016年(C)Hiroshi Sugimoto, Courtesy of Gallery Koyanagi
杉本博司さんの《螺旋階段2、ヴィラ・ファルネーゼ、カプラローラ》2016年(C)Hiroshi Sugimoto, Courtesy of Gallery Koyanagi
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 1579年、大村純忠ら九州のキリシタン大名が欧州に派遣した天正遣欧少年使節。彼らの足跡をたどり、目にしたであろう風景を、米国在住の現代美術家の杉本博司さん(70)が撮影し続けている。杉本さんの写真と、使節に関する文化財を通じて、少年たちの体験を追憶する企画展「クアトロ・ラガッツィ 桃山の夢とまぼろし」が長崎市の県美術館で開催中だ。

 杉本さんは4年前、イタリア・ベネチアのオリンピコ劇場で、使節が描かれた16世紀のフレスコ画を見て、海を渡った少年4人に興味を持ったという。

 ローマのパンテオンでは、天井の窓から差し込む満月の明かりだけで2時間露光し、古代ローマの万神殿を撮影した。使節が訪れる、はるか昔から変わらぬ光景。2千年の時が1枚の写真に凝縮されている。イタリア中部、アッシジの聖フランシスコ大聖堂の廊下を撮った1枚は、強調された遠近感が印象深い。あらゆる場所にピントが合っていて「超越的な世界を表現しているようだ」と福満葉子学芸専門監は話す。

 杉本さんの作品28点はすべてモノクロのフィルム写真だが、白黒に無限のバリエーションがあり、版画や彫刻のように見える。この不思議な感覚が、使節の視覚体験を追憶しているような気持ちにさせる。

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 使節は11年後に帰国し、活版印刷の技術などを日本に伝えた。キリスト教の印刷物や南蛮美術品なども本展に並ぶ。中でも、ローマ・ジェズ教会の3枚の殉教図が目玉だ。

 1622(元和8)年の「大殉教」を描いた1枚は、長崎・西坂であった事件の様子を克明に伝える。司祭や修道士は火刑に、信徒たちは斬首された。26本のツバキの苗木の前で見守る信徒の姿も。この25年前、26聖人が処刑された殉教地を表す。殉教図3枚が長崎でそろうのは初という。

 使節の訪欧を肖像画入りで伝える1586年のドイツの新聞も展示中。欧州で喝采を浴びた少年たちは帰国後、日本が禁教政策をとったため、不遇なまま生涯を終えた。美術館で彼らに思いをはせる旅に出よう。

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 27日まで。観覧料は一般1200円ほか。県美術館=095(833)2110。

=2019/01/16付 西日本新聞朝刊=

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