「松浦鉄道」で避難 玄海原発防災訓練で初の試み “避難手段の多重化”探る を [長崎県]

松浦鉄道大学駅で下車し、避難所に指定された公民館へ向かう住民たち
松浦鉄道大学駅で下車し、避難所に指定された公民館へ向かう住民たち
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松浦鉄道は車両を増結して「避難」に対応する手順を確認した=たびら平戸口駅
松浦鉄道は車両を増結して「避難」に対応する手順を確認した=たびら平戸口駅
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松浦鉄道高岩駅で列車に乗り込む江迎中の生徒たち
松浦鉄道高岩駅で列車に乗り込む江迎中の生徒たち
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相浦地区公民館では避難した住民の放射線量をチェックする訓練もあった
相浦地区公民館では避難した住民の放射線量をチェックする訓練もあった
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壱岐市・長島の一時退避施設で行われた避難訓練に参加した島民
壱岐市・長島の一時退避施設で行われた避難訓練に参加した島民
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 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働後初めて行われた2日の県原子力防災訓練には、30キロ圏に位置する松浦、平戸、壱岐、佐世保4市などの住民約670人を含む88機関約1800人が参加した。重大事故に備えた初の試みとして、松浦鉄道の列車を使った避難を初めて実施。陸路における自家用車やバス以外の「避難手段の多重化」を探った。

 松浦鉄道(MR)を使った避難訓練では、30キロ圏内のたびら平戸口駅(平戸市)で、通常は1両で運行している列車に2両を増結して輸送力を確保する手順をまず確認。普段は1両のMRは乗務員1人のワンマン運行だが、この日は6人態勢で訓練に臨んだ。

 同市田平町の住民23人は、地元の公民館から市職員に先導されて平戸口駅に移動し、3両編成になった列車に乗り込んだ。西田平駅(同)でも住民10人が乗り込み、平戸口駅からは所要時間約50分で、約30キロ離れた佐世保市内の大学駅に到着。近くの公民館で除染などの訓練に応じ、安定ヨウ素剤を手渡された。

 訓練に参加した会社員浦田朋子さん(58)は「実際の事故時はパニックになりそう」と訓練の大切さを再認識。他の住民からは「有事の際は各駅停車ではなく、避難所に近い駅まで直通運転してほしい」との声も聞かれた。

 MRを使う訓練には、佐世保市の江迎中の生徒ら20人も高岩駅から乗車して参加。佐世保駅まで移動してバスへと乗り継ぎ、避難所の公民館に向かった。2年の向坂(さきさか)彩鈴(あやね)さん(14)は「事故の際はもっと多くの人が乗車することになる。列車に乗れるか心配」と話した。

 MRの今里晴樹社長は「鉄道を使った避難は、事故後、ある程度落ち着いた状態で計画的に客を運送することが想定される」と説明。「道路の寸断や交通渋滞の発生があった際、避難経路の一つに鉄道があることは重要」と強調した。

   ◇    ◇

放射線防護施設へ初の避難訓練実施 壱岐の2次離島

 壱岐市では、玄海原発からおおむね30キロ圏内に位置する大島、長島、原島で、一時的に屋内退避する場所として整備された「放射線防護施設」へ避難する訓練が初めて行われた。

 2次離島(大きな離島の周辺に点在する小島)の3島の防護施設は、しけなどで北部が30キロ圏外の壱岐島へ船が出せない場合、島民が利用する。

 110人が暮らす長島の施設は昨年新築された鉄筋コンクリート2階建てで、最大150人収容可能。放射性物質を除去するフィルターを備え、機密性の高い窓や扉を使った構造で、3日間過ごせる食料などの物資を備える。訓練では約30人が徒歩で集合し、空気を吹き付けて衣服を除染するエアシャワーなどの使い方を確認した。

 施設は1、2階とも畳敷きで、島民からは「畳に直接座ることが難しい足の悪い高齢者のためにいすが必要」などの声が上がった。

=2019/02/03付 西日本新聞朝刊=

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