国産食材で「おもてなし」困難 規格取得率2%のみ 東京五輪

 2020年東京五輪・パラリンピックの選手村や競技場で提供される飲食物に、国産の農産品がほとんど使えない恐れが出ている。大会組織委員会理事会は24日に決定予定の食材調達基準で、国際的な食品安全規格取得などを要件とする見通しだが、国内での取得はごくわずかにとどまっているためだ。政府は五輪を国産食材PRの好機と位置づけるが、現状では国産食材での「おもてなし」は困難な情勢となっている。

 農産物の国際的な食品安全規格は「グローバルGAP(農業生産工程管理)」と呼ばれ、ドイツの非営利組織が運営。別の民間機関が、安全性や環境に配慮した生産工程などを審査、認証している。

 組織委は五輪で使う農産物について、グローバルGAPや日本版の「JGAPアドバンス」などの取得を条件とする方針だが、取得率は国内主要産地の約2%にとどまる。取得に最大100万円近くかかるほか、毎年の更新料が数十万円になるなど経費面が大きな理由。生産履歴など多くの書類作成や保存が必要で、事務手続きの煩雑さも敬遠される要因だ。

 長崎県大村市の農産物直売所「おおむら夢ファーム シュシュ」の山口成美社長は「生産履歴を見せてほしいという客はほとんどいない。消費者にとって国産が安全なのは当たり前で、GAP取得のメリットは全く感じない」と言い切る。

 農林水産省は農産物輸出にも有利になるとしてGAP取得を推奨しているが、山本有二農相は「お金がかかるし、輸出までは考えていないという生産者の方が圧倒的に多い」と認める。同省では2016年度補正予算でGAP取得費用を補助するなどの新規事業に3億5千万円を計上したが、申請数は少なく利用は予算に満たない見込みだ。

 農水省幹部は「認証費用は高く、ぼったくられているようなもの」として「認証機関に金額を安くするような働き掛けも必要だ」と強調。東京五輪で提供される食事は1500万食以上ともいわれ、認証取得を促すなどして、巻き返しを図るとしている。

=2017/03/24付 西日本新聞朝刊=

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