ホタル舟彩る4きょうだい 鹿児島・さつま町、長男船頭、3姉妹が歌

祖父の中園瀧男さんと一緒にホタル舟の船頭を務める大貴君
祖父の中園瀧男さんと一緒にホタル舟の船頭を務める大貴君
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自宅のベランダからホタル舟に向かって歌う(右から)さくらさん、桂果さん、桃果さん
自宅のベランダからホタル舟に向かって歌う(右から)さくらさん、桂果さん、桃果さん
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 月夜を彩るホタルを川下りしながら観賞する鹿児島県さつま町の「奥薩摩のホタル舟」。毎年5月に川内川で開かれている幻想的なイベントを、川沿いに住む小学生4きょうだいが盛り上げている。船頭を務めたり澄んだ歌声で楽しませたり。美しい光に花を添え、乗客を魅了している。

 きょうだいは小学6年の中園大貴君(11)、5年のさくらさん(10)、2年の双子、桂果さんと桃果さん(7)。2002年のホタル舟の運航開始から祖父の瀧男さん(71)と父の政次郎さん(45)が船頭を務めるホタル舟一家だ。

 月明かりが川面を照らす午後8時前。昨年“船頭デビュー”した大貴君が21人乗りの舟のへさきに立った。物心付いた頃から川で遊び、浅瀬や岩が隠れた難所も「だいたい頭に入っている」。長さ3メートルの竹ざおを器用に使ってこいだり、川底を突いたり。船尾にいる瀧男さんと息を合わせ、ゆったり進む舟を操る。

 「あそこにいますよ」。大貴君はホタルが舞うポイントを見つければ、乗客に教える。「今日は少ない。多いときは星空みたい」。お客さんとの会話も弾む。

 2キロを約40分かけて下るホタル舟。終盤に差し掛かると土手の上から、かわいらしい歌声が聞こえきた。

 ♪ほう、ほう、ほ~たるこい

 さくらさんたち3姉妹の声だ。ホタルが見やすいよう消灯した家のベランダから舟に向かって歌う。

 もともと、船頭の瀧男さんたちに「頑張って」と声を掛けたのが始まり。乗客を楽しませようと5年前から歌い始めた。一晩に出る10隻すべてに歌を届ける。

 「きれいな声ね~」

 「また来てくださいね」 暗くて互いの姿が見えない中、乗客とやりとりする。アンコールの声や、感動して泣く人も。「少しでも喜んでほしい」とさくらさんは毎晩、風呂で練習を重ねる。船上で聞く瀧男さんは「最高のおもてなし。こいでるこっちも元気が出る」とほほ笑む。

 大貴君は美しい光景に感激する乗客を見ると故郷を誇らしく思う。「ホタルは地元の宝物。多くの人に見てほしい」。大人になっても船頭を続けるつもりだ。

    ☆   ☆

 地元住民らでつくる「奥薩摩のホタルを守る会」が27日まで運航。乗船料は大人2千円、中学生以下千円。既に満席で、予約はキャンセル待ち。予約センター=090(9602)4640。

=2017/05/16付 西日本新聞夕刊=

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