【ひと】被爆3世の家族を撮り続ける写真家・堂畝紘子さん

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 ファインダーに納まるのは祖父や祖母が被爆した被爆3世を中心にした家族。長崎市内の神社に集まった被爆者からひ孫までの4世代に、距離を縮めながらシャッターを切る。自然な表情を記録するには「親戚のおばさんになりきるのがこつ」と言う。

 被爆地の広島市に生まれ、高校時代は平和記念式典の運営ボランティアを経験した。

 「同世代の中では、戦争や平和問題への関心が高い方だったのかな」

 写真と出合ったのは高校を卒業してから。友人と沖縄を旅行し、一眼レフを手に別行動で戦跡を巡った。

 上京して社会人になった。平和学習の映像教材などのナレーターになることを夢見ていたものの、希望の仕事には巡り合えなかった。そんなときに起きたのが、東日本大震災に伴う原発事故。被爆地に育ち、放射線の恐ろしさを聞かされていた。生まれて間もない子を連れて、故郷に帰る決断をした。

 「被爆地で育った者として自分にできることは何だろうか」。地元で写真家として独立し、自問を繰り返した。ヒントをくれたのは高校時代の友人。「被爆3世の私を撮ってみない?」。被爆者から孫につながる「命の継承」を一枚に表現するライフワークが見つかった。

 活動を始めた2015年以降、撮影した家族は50組を超えた。8月8日から初めて長崎市で写真展を開く。「被爆の記憶を引き継げるかどうかは、被爆者から直接話が聞ける3世に懸かっている」と思いを込める。

 広島市安芸区在住。34歳。

=2017/05/18付 西日本新聞朝刊=

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