南阿蘇鉄道22年度にも全線復旧 事業費65億円超 特例で国が97.5%負担

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 熊本地震の被災で過半の区間で運休が続く第三セクター南阿蘇鉄道(立野-高森)の全線復旧に向け、政府は65億~70億円を見込む復旧費のうち、実質97・5%を負担する方針を固めた。観光振興や住民生活に不可欠と判断、国の通常の補助率25%を大幅に超える支援制度を特例で創設する。巨額の工事費で再開が見通せない状況だったが、政府が支援策を固めたことで2022年度にも全線復旧する見込みとなった。

 鉄道の災害復旧では経営が厳しい事業者を対象に、鉄道会社が50%を負担し、国と地元自治体が25%ずつを補助する制度がある。

 南阿蘇鉄道はこの制度の適用対象だが、年間売上高は約1億円で、復旧費の50%(30億円超)を負担する資金力はない。沿線の熊本県南阿蘇村や高森町も、それぞれ数億円を支出するのは困難な状況だった。

 今回の支援制度は鉄道会社の負担をゼロにした上で、国の補助率を通常の25%から50%に倍増。残り50%を県と沿線自治体が負担する仕組みだが、国が95%を交付税措置する「補助災害復旧事業債」の活用を認める。これにより国が復旧費の97・5%を実質的に負担。地元自治体の負担を2・5%(1億6千万円程度)に圧縮し、県や南阿蘇村、高森町などが分担する方向で調整する。

 国から巨額の財政支援を受けるには、公共施設としての性格を強めるため、鉄道施設を自治体の保有に移すなどの対応が必要。同社と関係自治体でつくる協議会が、施設保有や費用分担のあり方を含めた再建計画を8月までにまとめる予定で、政府は計画策定を受けて正式に支援を決める。

 その後、復旧に向けた設計や工事に着手し、中松-長陽は18年度中の再開も検討。被害が甚大な長陽-立野は橋の架け替えなどが必要で、22年度ごろの再開を目指す。

 東日本大震災では被災した三陸鉄道(岩手県)に対し、国が補助を50%に倍増するとともに、各自治体に震災復興特別交付税を支給、事実上、国が全額負担した。

 南阿蘇鉄道 熊本県南阿蘇村と高森町を結ぶ17・7キロの第三セクター。1928年に鉄道省(旧国鉄)の宮地線として開業。86年に沿線町村などが出資する同社が経営を引き継いだ。車窓から阿蘇の雄大な自然を望めるなど観光客に人気が高く、トロッコ列車も走る。2016年4月の熊本地震で被災し全線が運休。同年7月に中松-高森(7・2キロ)が再開したが、立野-中松(10・5キロ)は運休が続いている。

=2017/06/13付 西日本新聞朝刊=

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