空から農業変える 新型ドローン開発続々 ピンポイント農薬散布、鳴き声再生でカラス撃退

「アグリドローン」を手にするオプティムの菅谷俊二社長
「アグリドローン」を手にするオプティムの菅谷俊二社長
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カラスの鳴き声を再生し、野生のカラスを撃退するカラス型ロボットの試作品
カラスの鳴き声を再生し、野生のカラスを撃退するカラス型ロボットの試作品
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 小型無人機ドローンを活用し、農業の生産性を高める新技術の開発が進んでいる。佐賀市のベンチャー企業は、作物の生育観察や害虫駆除にあたるドローンを製造。ほかに、カラス型ドローンで果樹園を荒らすカラスを撃退する研究も注目を集めている。用途を広げるドローンは農業を空からどう変えるのか-。

 「ドローンで作業を効率化し、農家の所得が倍になる仕組みをつくりたい」

 6月22日に福岡市であった「ビジネスシヨウ&エコフェア2017」。佐賀市のITベンチャー企業「オプティム」の菅谷俊二社長は、佐賀大、佐賀県と連携して開発した「アグリドローン」を紹介した。

 ドローンに高解像度4Kカメラを搭載し、田畑に飛ばして2千~3千枚の写真を撮影。人工知能(AI)の自動解析を通じて葉の変色や虫食いの有無を判別し、農薬が必要な地点を割り出す。そこで、今度はドローンにタンクを積み、農薬を散布する。ピンポイントで散布するため農薬の使用量を減らせるのが特徴。1台100万~200万円と高額だが、昨年秋から販売している。

 同社はさらに、夜間飛行中に光の波長で害虫を集めて、高電圧で捕殺する殺虫器を搭載したドローンの開発にも着手。殺虫効果やコストに合うかどうかを見極め、実用化を検討する。菅谷社長は「農家は田畑を見回る作業に膨大な時間を費やしている。ドローンで省力化し、収益性向上が期待できる」と力を込める。

 総合研究大学院大学(神奈川県)では、野生カラスを追い払うカラス型ドローンの開発が続く。

 担当する塚原直樹助教(動物行動学)によると、カラスは警戒や威嚇、逃避などの行動に応じ、鳴き声を使い分けている。また、カラスの鳴き声をスピーカーで再生した場合、カラスは仲間の鳴き声と勘違いし、逃避などの行動に出ることも判明。この習性を利用して、カラスの動きをコントロールする計画だ。

 まず、空中のカラス型ドローンと地上のカラス型ロボットに“会話”をさせる。鳴き声は、AIがその状況に応じて逃避や威嚇、誘導などを選択。聴覚と視覚から本物のカラスを勘違いさせ、カラス型ドローンが本物を引き連れて果樹園や畑から離す仕組みだ。

 現在はカラスの鳴き声を判別するAI開発に着手し、早ければ来年の製品化を目指す。塚原助教は「ドローンで少しでも作物荒らしの被害を防ぎたい」と意気込む。

 就農者の減少や高齢化が進む農業。田畑を飛び回るドローンが、担い手不足を解消する日は遠くないかもしれない。


=2017/07/05付 西日本新聞夕刊=

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