九州豪雨、土砂崩れ300ヵ所超 「表層崩壊」同時多発 雨で進行の懸念も

土砂崩れが多発した福岡県朝倉市の山林(九州森林管理局提供)
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 九州豪雨により発生した土砂崩れが、福岡県朝倉市と東峰村、大分県日田市で少なくとも300カ所に上ることが農林水産省九州森林管理局の調査で明らかになった。ほとんどは、深い岩盤までは崩れず、表土層と樹木が滑り落ちる「表層崩壊」とみられるという。識者は、斜面に残った土砂や樹木が今後の強い雨や台風で流れ落ちる恐れがあるとして、警戒を呼び掛けている。

 九州森林管理局は8、10日に上空から被災地を調査した。土砂崩れは朝倉市と東峰村に集中し、その多くは長さ数メートルから数十メートルと比較的小規模だった。調査に加わった森林総合研究所九州支所の黒川潮・山地防災研究グループ長は、山の谷筋に雨水が集中して斜面が削られ、同時多発的に土砂崩れが起きたとみている。

 熊本大学の北園芳人名誉教授(地盤工学)によると、上空から見た限り、朝倉市や東峰村の土砂崩れでは深い岩盤は崩れておらず、多くが浅い表土層が崩れた「表層崩壊」だった。猛烈な雨が斜面の表面を勢いよくそぎ落とし、深く根を張らないスギなどの針葉樹も流れたとみられるという。

 表層崩壊は、雨水が深くまで染み込み、岩盤部分から崩れ落ちる「深層崩壊」と比べると、流出する土砂は少ないが、今回は表層崩壊が多発したことで、流れ出た土砂や樹木が膨大になったとみられる。

 日田市の土砂崩れは数十カ所と比較的少なかった。ただ、朝倉市などの土砂崩れと異なり、川の流れをせき止める“土砂ダム”ができた日田市小野地区の土砂崩れについて、北園名誉教授は、深層崩壊に近いとみている。豪雨翌日の6日朝に発生したことから、雨が時間をかけて斜面深くに染み込み、地下水位が上がって土が浮き上がり、崩れたと考えられるという。

 福岡大の村上哲教授(地盤工学)の調査では、小野地区の一部斜面では岩盤が露出。山はなお大量の水を含んでいる可能性もある。朝倉市や東峰村も含め、さらに土砂崩れが進む恐れがあると指摘している。

=2017/07/16付 西日本新聞朝刊=

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