「活動ほぼ限界」被爆者団体の解散相次ぐ 次世代への継承に深刻な課題

各県被団協への取材を基に作成。各県被団協を含む。被爆2世の会を含む県もある。福岡県の「※」は07年のデータ
各県被団協への取材を基に作成。各県被団協を含む。被爆2世の会を含む県もある。福岡県の「※」は07年のデータ
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 広島、長崎への原爆投下から72年、被爆者団体の活動が高齢化を背景に細っている。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は、九州各県の構成団体数が2015年の100から2年間で15減少。熊本県では毎年夏の慰霊式が中止となった。長崎市に次いで被爆者が多い長崎県諫早市でも解散決定が相次ぎ、団体が姿を消す。7月に核兵器禁止条約が国連本部で採択される一方で、次世代への継承が深刻な課題となっている。

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 熊本県被団協は今年、原爆投下50年の節目から続けてきた慰霊式の開催を断念した。高齢化に加え、熊本地震に伴う転居などで会員が減り、会費収入も不足しているためだ。長曽我部久会長(81)は「語り部の要請には何とか応えているが、活動はほぼ限界に来ている」と話す。

 鹿児島県では15年まで10あった地域支部が2に激減した。県被団協が昨年の理事会で活動継続の意思を確認したところ、事務作業の担い手不足などから解散が相次いだという。副会長で被爆2世の大山正一さん(60)は「県内の被爆者の平均年齢は全国より高く、気持ちだけでは継続は難しい」と頭を悩ます。

 被爆地でも高齢化が影を落とす。諫早市の原爆被爆者諫早連合会(中村雪和会長)は9日の慰霊祭を最後に事実上、活動を終える。昨年度の会員数は287人で、発足した05年の3分の1に減少。今年5月の定期総会で、年度末での解散を決めた。氏原和雄事務局長(87)は「被爆者団体がなくなると国は援護を打ち切るのではないか」と心配する。市内にもう一つあった諫早市原爆被災者協議会も昨年5月に解散した。

 被爆者健康手帳の所持者は全国に16万4621人。九州各県の被団協によると、団体への加入率は5~6割にとどまるという。未加入者の勧誘も「個人情報保護を理由に、手帳所持者を把握する県から連絡先を得られない」(宮崎県被団協)など難航している。

 被爆者の約3割は広島、長崎両県外に暮らしているが、既に滋賀や和歌山など4県で県被団協がなくなった。長崎大核兵器廃絶研究センターの中村桂子准教授は「核兵器禁止条約は被爆者の苦難に言及しており、核兵器の非人道性を学ぶ重要さは世界的に増している。被爆者が高齢化する中、被爆地以外の国内外でも証言や思いを継承することが必要だ」と指摘している。

【ワードBOX】日本原水爆被害者団体協議会(被団協)

 被爆者の唯一の全国組織。都道府県の被爆者団体で構成し、各都道府県内に支部がある。米国のビキニ環礁での水爆実験をきっかけに原水爆禁止を求める運動が広がり、1956年に結成された。原爆症認定訴訟の支援など被爆者の援護や相談業務、核兵器廃絶を求める運動の中核を担ってきた。近年はノーベル平和賞候補に推薦されている。

=2017/08/08付 西日本新聞朝刊=

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