故郷熊本復興の祈り、彫刻に込め 福岡市の片山さんが個展、益城町歩き新作イメージ

「林檎を持つ手1」=作品(2)
「林檎を持つ手1」=作品(2)
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林檎を持つ手2=作品(3)
林檎を持つ手2=作品(3)
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作品(1)「Agnus Dei -平安で満たし給え-」
作品(1)「Agnus Dei -平安で満たし給え-」
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片山博詞さん
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 福岡市立中の校長で日展会員の彫刻家、片山博詞さん(54)=同市中央区=の個展が11日から、熊本市の特別養護老人ホームで開かれる。故郷・熊本での初個展。熊本地震の被災地復興の祈りを込めた新作を含む約70点が並び、見学者は全作品を手で触ることができる。若き日の闘病生活で芽生えた古里への思い、視覚障害者との出会いがもたらした気付きなども投影されている。

 立像の女性が正面を向く目線は優しさをたたえながらも、見る者を射抜くような力を持つ。「Agnus Dei -平安で満たし給(たま)え-」=写真(1)。自分に何ができるのかを問いかけ、故郷への思いを込めた作品だ。

 女性が左手に持つリンゴは、ドイツの宗教改革者ルターの言葉とされる「たとえ明日世界が滅びるとしても、私は今日、リンゴの木を植える」が発想の原点。新作「林檎(りんご)を持つ手1」=写真(2)=と「林檎を持つ手2」=写真(3)=とともに、古里の「希望」を象徴している。

 イメージは、熊本地震から2カ月後に訪ねた熊本県益城町で膨らんだ。雨中、1人で町を歩いた。倒壊家屋、ブルーシートで覆った小屋で暮らす人たち。別世界にいるような記憶を残そうと、家屋の木材片を握り締めた。「彫刻で故郷が元気になれるようお手伝いをしたい」。個展開催は、そんな思いが根っこにある。

 長崎大教育学部で美術を専攻し教員になった。古里を強く意識したのはC型肝炎を発症した28歳の時。長女誕生の直前だった。病床で、古里で遊ぶ幼い自分の夢を何度も見た。「故郷って温かいものだと思った」

 33年にわたり彫刻を手掛けてきた。2006年、視覚障害者の50代男性との出会いが「触れる彫刻」に目覚めるきっかけになった。目が見えない男性は、年齢や性別が異なる顔の彫像を指で触れるだけで見分け、子どもの顔の彫像には「あどけないねえ」と言った。視覚だけでは得られない、触覚の鋭敏さを思い知らされたという。

 個展会場は、熊本市南区の特別養護老人ホーム天寿園=096(223)0533。片山さんが手掛けた、福岡県直方市のJR直方駅前に立つ「大関魁皇」(現浅香山親方)のブロンズ像の原型像も並ぶ。10月28日まで。無料。

=2017/08/10付 西日本新聞夕刊=

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