バブル生き残り、レトロなミスドに若者驚く 福岡市・大濠店、メリーゴーラウンド回転も

全国に3店しか残っていないメリーゴーラウンドのあるミスタードーナツ大濠ショップ
全国に3店しか残っていないメリーゴーラウンドのあるミスタードーナツ大濠ショップ
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夜には電飾がついて回る
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大濠ショップにはジュークボックスもある。音楽は鳴らないが味わい深い
大濠ショップにはジュークボックスもある。音楽は鳴らないが味わい深い
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 メリーゴーラウンドが鎮座し、時には回転する「ミスタードーナツ」の店舗が福岡市中央区の大濠公園にある。こうしたタイプの店はバブル経済の時代に全国で展開されたが、現在は約1200店ある同チェーン店のうち3カ所しかなく、九州では唯一だ。懐かしさを感じる人がいる一方、若い世代には新鮮に受け止められており、会員制交流サイト(SNS)に驚きの投稿も相次ぐ。

 ドーナツを頬張る客のそばで、白馬がはねるメリーゴーラウンドが存在感を放つ。商品ケースの近くには古いジュークボックス、壁にはネオン管のサインも。米国映画に出てきそうなレトロなイメージの「大濠ショップ」は1975年1月に開店し、その後の改装で今の形となった。メリーゴーラウンドに人は乗れないが、夜は電飾も輝く。客からのリクエストで回転させることもある。

 「ミスドと言えばメリーゴーラウンドだった」。友人と訪れた伊藤美奈子さん(46)=福岡市博多区=は、高校生の頃に同市・天神の通称「親不孝通り」で遊んでいた頃を懐かしむ。「30年ほど前は親不孝通りにあった店も同じ内装だった。いつの間にかなくなってしまった」と話す。

 運営するダスキンによると、こうした店舗は「21型」と呼ばれる。「21世紀を目前にして、より未来を意識したエンターテインメント的な店舗づくり」を目指し、1986年に東京・新宿に1号店が誕生。ピーク時の店舗数は記録に残っていないという。その後、店のデザイン変更に伴い徐々に撤去され、現在は他に大阪市の「今福鶴見ショップ」、松山市の「フジグラン松山」が残るのみ。

 九州経済調査協会研究主査の小柳真二さんは、大濠ショップにメリーゴーラウンドが残った理由について、博多、天神などの大きな駅から離れており、再開発の波が来なかった点に注目する。「座席数を確保して回転数を上げる都心型ではなく、客の滞在時間が長くても許される環境にあり、ある意味、時代について行かなくてもよい場所だったのでは」と分析する。

 「このミスドやばい メリーゴーランド回ってる」「メリーゴーランドがあるミスドが福岡にあるー!可愛(かわい)いー」。最近の店舗しか知らない若者は驚き、ツイッターへ投稿する人も多い。メリーゴーラウンドの電飾は既に製造が中止されているため、切れたままのものもある。ジュークボックスも明かりはつくが音楽は鳴らない。それも味わいになっているのか、大濠ショップの長毅司(ちょうたけし)店長は「メリーゴーラウンドの周りの席はいつも埋まっている」と笑顔で話す。

 21型の今後についてダスキンは「店舗改装は、加盟店オーナーや地域と調整の上で決定するため回答はできない」としている。小柳さんによると、最近のカフェ業界は、客の過ごし方を重視した店づくりをする傾向にあるという。「店内で楽しませるという大濠のミスドは図らずもトレンドを捉えている。こうした店の存在があってもいいのではないか」と話した。

=2017/08/24付 西日本新聞夕刊=

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