節分「柊鰯」で鬼退散 天草で「百鬼夜行絵巻」を発見 狩野派絵師の手本か

ヒイラギのとげが目に刺さり、退散する鬼の姿が描かれている
ヒイラギのとげが目に刺さり、退散する鬼の姿が描かれている
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天草市の個人宅で見つかった狩野派絵師によるとみられる「百鬼夜行絵巻」
天草市の個人宅で見つかった狩野派絵師によるとみられる「百鬼夜行絵巻」
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 ユーモラスなタッチで妖怪たちを描いた江戸時代後期から末期の作とみられる「百鬼夜行絵巻(ひゃっきやぎょうえまき)」が熊本県天草市で見つかった。作者は不明だが、狩野派絵師の「粉本(ふんぽん)(絵手本)」とみられる。結末には節分の魔よけの風習で、ヒイラギの枝に焼いたイワシの頭を刺した「柊鰯(ひいらぎいわし)」で鬼が退散する様子が描かれ、調査した福岡市美術館の中山喜一朗副館長は「柊鰯を描いた絵巻は見たことがない。貴重な新発見」と話している。

 見つかった絵巻は長さ約10メートル。絵師の落款や印章はない。天草市に住む薩摩藩にゆかりのある個人宅に代々伝わり、他の美術品と一緒に床の間に置かれていた。所有者の70代男性は「子どもの頃、祖父に見せられた記憶はあるが、表装もなく、貴重なものとは思わなかった」と話す。

 琵琶や琴が化けた器物の妖怪など、100余りの妖怪が列を成して練り歩く。最後は朝日が差し、軒先に掛けてある「柊鰯」のとげが目に刺さって鬼が逃げ帰る場面で終わる。

 8月中旬、天草市で絵巻を調べた中山氏は「紙の継ぎ方などから粉本とみられ、大名家に仕えた狩野派の御用絵師が持っていたものだろう」と見立てた上で「粉本は通常縮図だったり、色が付いてなかったりするものもあるが、完成品と同じサイズで描き直しもなく、きれいに最後まで着色してある。大変珍しい」と評した。

=2017/09/03付 西日本新聞朝刊=

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