西日本新聞電子版 1周年記念プレゼント

学校樹、桜だけ「特別扱い」 道路に倒木事故も 愛着ゆえ管理難しく 福岡市

小学校敷地内から市道に向かって倒れたソメイヨシノの木。通行を規制して撤去作業が行われた=8月18日、福岡市中央区
小学校敷地内から市道に向かって倒れたソメイヨシノの木。通行を規制して撤去作業が行われた=8月18日、福岡市中央区
写真を見る
春の象徴として愛される桜
春の象徴として愛される桜
写真を見る

 福岡市内の小学校で8月、敷地に立つソメイヨシノの木が倒れる事故があった。市教育委員会によると、市立学校の敷地内にある約50種類の樹木は市が定期的に管理しているが、ソメイヨシノなどの桜は学校が日頃から見守り、対応を判断する例外の木になっているという。桜への愛着ゆえの「特別扱い」から管理の難しさが透けて見えた。

 市教委によると、事故は8月18日夕に発生。同市中央区赤坂2丁目の赤坂小で、市道に面して立つソメイヨシノ(高さ約8メートル)の幹が道路に向かって倒れた。けが人はなかったが、道路の通行が一時規制された。根元の幹が空洞化しており、腐朽が原因とみられる。

 同小にある99本の木のうち、22本がソメイヨシノ。倒れた木は1953年の開校当初からあり、樹齢60年以上という。

 市教委は、各校の敷地内を二つのエリアに分け、1年おきに剪定(せんてい)しているが、ソメイヨシノなど桜の木は対象から外している。「切ることで樹勢が弱ることがあり、扱いが難しい。シンボル的な木として住民に親しまれており、慎重に対応している」(施設課)と説明する。

 剪定は業者に委託。どの程度木を切るかを決めてから入札にかけるが、桜の木は1本ずつ状況を確認して方法を検討する必要があり「定期的な剪定にそぐわない」として、学校側に判断を委ねてきたという。

 「桜切るばか、梅切らぬばか」ということわざもあるように、桜の木は切らないことが良いとされてきた。学校の桜の木は地域から寄贈されたり、記念として植えられたりするケースが多く、下手な剪定や伐採が問題になることもあるという。管理の方法は自治体ごとに異なるが「桜に愛着を持つ住民は多く他の木より注意して扱っている」(福岡県久留米市)、「剪定の際には記念樹でないかなど確認する」(同県飯塚市)と特別視の傾向がある。

 国民的な愛を注がれる木だけに、福岡市教委は「なるべく切らずに保持する」ことが基本方針。各学校からの依頼もこれまで虫の駆除が中心だった。

 今回倒れた木について、赤坂小は「年月がたっており、亀裂や腐れがないか他の樹木より念入りに見ていた」が、危険性は予見できなかったという。市内の学校にある桜は大半がソメイヨシノで樹齢50年を超える“高齢”のものも多いとみられる。事故を受け、市教委は各学校に対し、さらに注意深く木を観察するよう文書で呼び掛けた。

 福岡県樹木医会代表理事の森陽一さん(63)は「高齢のソメイヨシノも適切に対処すれば延命することができるが、目視の判断は難しい。50年を超えるような木は点検をして植え替えや治療の有無を判断する必要があり、専門家の指導を仰いでほしい」と話している。

=2017/09/20付 西日本新聞夕刊=

→電子版1周年記念!1万円分賞品券やQUOカードが当たる!!

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]