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ニホンカワウソ否定的 環境省調査のDNA解析 大陸から対馬に漂着か

痕跡調査で新たに見つかったカワウソのものとみられる足跡=8月末、長崎県対馬市(環境省提供)
痕跡調査で新たに見つかったカワウソのものとみられる足跡=8月末、長崎県対馬市(環境省提供)
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 長崎県・対馬で、38年ぶりに国内で生息が確認された野生のカワウソについて、環境省は12日、現地調査で得られたDNAを解析した結果、韓国やロシア・サハリンにすむユーラシアカワウソの雄と判明したと発表した。調査チームの佐々木浩筑紫女学園大教授(動物生態学)は「調査結果からは、狭義のニホンカワウソの生き残りではないと思われる」と述べた。韓国で生息数を増やしているユーラシアカワウソが、漂流物につかまるなどして流された可能性があるという。

 現地調査は8~9月、海岸線と河川計69キロを歩いて実施。新たに採取したふんのうち4個からカワウソのDNAが検出されたほか、河川付近の1カ所で成体とみられる5センチほどの足跡を複数発見した。

 ニホンカワウソはユーラシアカワウソの亜種。ユーラシアカワウソのDNAは7月の調査でも検出されていたが、新たな検体を含め、詳細に解析したところ、すべて過去に採取されたニホンカワウソのものと異なっていた。

 また、7月の調査では、雌雄の別個体が生息する可能性があるとされたが、検出されたDNAはすべて、同じ個体のものに近いことが判明。生息するのは複数ではなく、1匹だけの可能性も出てきた。7月の調査で雌とみられた検体に、別の動物のふんが混入していたためで、調査チームはさらに解析を進め、個体数の確認を図る。

 国内のカワウソは、1979年に高知県須崎市で生きた姿が目撃されたのが最後とされる。環境省は2012年、生息を30年以上確認できないとして「絶滅」と判断した。判断を修正するかについて、同省の番匠克二希少種保全推進室長は「今の段階で言及するのは早い」としている。今後もカメラによる調査などを続ける方針。

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■地元「見守って共存へ」

 「ニホンカワウソでなかったのは残念だが、調査で野生カワウソの生息が確認されて良かった」。長崎県対馬市上県町佐護の緒方実行さん(82)は、60年ほど前には、地元の川でよくカワウソを見掛けたといい「昔が浮かぶ。カワウソで対馬をPRできるんじゃないか」と前向きに捉える。

 環境省対馬野生生物保護センターの佐藤大樹首席自然保護官は「島内での生息数はそんなに多くはないと考えている」と分析。「対馬にはツシマヤマネコの他に、野生のカワウソもいるということで、多くの人たちに島の自然に興味をもってもらいたい」と話した。

 同省はふんが見つかった場所を中心に、カワウソの生息調査を年度内に数回行う予定。「生息環境を乱さないよう、むやみに近づいたり、餌付けをしたりせず静かに見守って」と呼び掛ける。市文化交流・自然共生課は「対馬にはカワウソが暮らせるほどの豊かな自然が残されていることが改めて分かった。今後も島の生物多様性を保全する取り組みを推進する」とコメントした。

=2017/10/13付 西日本新聞朝刊=

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