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対教師暴力に悩む現場 昨年度8022件、県内は187件確認 警察「介入」19件、線引きは

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 小中高校の児童生徒が教師に暴力を振るう「対教師暴力」がなくならない。文部科学省が26日に公表した2016年度の問題行動調査では、前年に比べて190件減ったものの、8022件を確認。福岡県内では昨年、警察が“介入”したケースが19件あった。今年9月には、高校内での「暴行動画」がインターネット上に拡散し、生徒が逮捕された。警察への通報も含め、どう対応するか、学校現場は悩んでいる。

 「今でもあんな暴力があるのか」。同県内の公立高の40代男性教師は、動画を見て衝撃を受けた。

 問題の動画は、同県内の私立高校の教室で、男子生徒が20代の男性講師の背中を蹴るなどした様子を同級生が撮影。会員制交流サイト(SNS)を通じて拡散した。県警は男子生徒を傷害容疑で逮捕した。

 男性教師が教職に就いた約20年前には歯向かう生徒もいたが、最近はまず聞かない。生徒との年齢の近さやクラスの雰囲気などから「エスカレートしたのかもしれない」と想像する。

 文科省調査によると、16年度の九州7県の対教師暴力は402件。このうち福岡県は187件で、児童生徒千人当たりでは0・3件と、全国平均(0・6件)を下回る。近年は全国的に減少傾向にあるが、ささいな事案を報告するかどうかは学校次第だ。

 さらに警察に通報するかどうかは別問題。文科省は、犯罪につながる可能性がある場合は警察に通報するよう通知しているが、判断は学校に委ねられている。

 福岡県警が16年に取り扱った対教師暴力事件は19件。単純比較はできないが、警察が関与するのはごく一部とみられる。暴行動画のケースも、被害者の講師は学校側に伝えておらず、動画を見つけた保護者が警察に通報したことで発覚。高校が被害届を出した。

 同県の40代の高校教師は「自分だったら学校の中で更生させたい」としつつ、「ネットで拡散したから被害届を出さざるを得なかったのかもしれない」。一方、長崎県の高校の50代男性教師は「警察に告げるのは最終手段。生徒の可能性を信じるのが教師の務めではないか」と批判的にみる。

 かつて校内暴力が多発した学校を経験した福岡市の中学校長は、問題のある生徒に対し、別室で指導したり、「出校停止」にして家庭訪問を続けたりしたという。「学校と警察の連携は必要だが、線引きも求められる。生徒には更生のチャンスを与え続けるべきだ」

 九州大の八尾坂修名誉教授(教育経営学)は「警察が介入するのは究極の段階であり、できる限り慎重な配慮が必要だ。加害児童生徒の成長のために、きちんとしたアフターフォローも求められる」と話している。

=2017/10/30付 西日本新聞朝刊=

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