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V長崎“愛”貫き大一番 名物番記者藤原さん 不正追及、取材拒否めげず J1懸け11日ホーム戦

大一番を控えた9日、練習場で高木琢也監督を取材するライターの藤原裕久さん=長崎県島原市
大一番を控えた9日、練習場で高木琢也監督を取材するライターの藤原裕久さん=長崎県島原市
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 サッカーJ2で2位につけるV・ファーレン長崎が11日、初のJ1昇格を懸けたホーム戦に挑む。経営難や役員総退陣、観客数水増しなど混乱が続き降格すら危ぶまれた今季。2004年のクラブ創設時からチームの記事を書き続ける名物ライターの藤原裕久さん(47)=長崎市=もまた、不祥事を追及して一時取材拒否を受け、苦しんだ。それでも追い続けたのは監督や選手、サポーターの後押しがあったから。最古参の「番記者」は、万感の思いで大一番の取材に臨む。

 藤原さんはサッカー好きが高じて創設時から取材を始め、サッカー専門誌やウェブなどに寄稿。「Jリーグ登録フリーランスライター」の立場を得て、V長崎のサイトやガイド本で書き続けた。だが今年2月、当時の経営陣に詰め寄った。「Jクラブの運営として不適切。改善すべきだ」。旧経営陣が絡む不適切な会計などに耐えかねた直談判。同月末、明確な理由が分からないまま、試合や練習場での取材禁止を通告された。

 覚悟の上の追及。クラブを愛する番記者だからこそだった。自腹で一般客と同じ席から観戦し、赤字覚悟で遠征に同行。月200本以上書いてきた原稿と収入は7~8割減った。取材再開を申し入れても返答はなかった。「やっぱり書くな、ということか」。心が折れそうになった。

 そんな時、支えになったのが、叱咤(しった)激励してきた監督や選手たちだった。ある選手は「話を聞いてくれるのは藤原さんだけ」と声を掛けてくれた。高木琢也監督も「練習を見てどう思った?」と聞いてきた。専門誌の編集者は「あなたを廃業させたくない」と企画を持ち込み、サポーターも励ましのメッセージを寄せた。「とにかく書こう」と決めた。

 今季途中の4月末、通販大手ジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市)がクラブ運営を引き継ぎ、体制は一新。新社長に就いた高田明氏と6月に面会し「状況を把握できていなかった」と陳謝され、約4カ月ぶりに取材を再開した。

 「監督も選手もサポーターも経営側も苦しんだ1年。だからこそ強くなり、こんなワクワクする状況にいられる」。2試合を残してJ1自動昇格圏の2位。11日にV長崎が勝ち、3、4位チームが引き分け以下なら昇格が決まる。「会見で何を聞こうかな」。タフな番記者の目は、歓喜の瞬間を見据えている。

=2017/11/10付 西日本新聞朝刊=

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