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顔写真報道の議論続ける 西日本新聞社会部長

 神奈川県座間市のアパートで9人の遺体が見つかった事件の報道で、被害者の顔写真掲載を巡り賛否の議論が起きています。被害者遺族の心情を踏みにじるものだという厳しい批判も出ています。

 事件の容疑者と被害者は、ネット上で「自殺」という言葉が接点になった特異な背景があります。遺体の状況も、これ以上ないむごいものです。被害者には高校生も3人いました。

 事件報道では、常に被害者の顔写真を掲載するか否か、悩ましい判断が迫られます。今回の事件は、特に慎重に判断すべき事情があるといえます。

 西日本新聞は、最初に身元が特定された東京都八王子市の女性(23)について、7日付朝刊で写真掲載を見送りました。共同通信、友好紙の東京新聞から配信された写真は小学生時代のもので、容姿が大きく変わっている可能性が高い上、小学生が被害に遭ったとの誤解を招きかねないと判断したからです。

 ただ、9人全員の身元が判明したことを報じる11日付朝刊で、全員の顔写真を掲載するかどうか。社会部内でかなりの議論になりました。

 1枚の顔写真は、生身の人間がこの凄惨(せいさん)な事件の被害に遭った、という現実を何より訴え掛けてきます。どうすればこの種の犯罪を防ぐことができるかと、社会を動かす力にもなります。

 一方で、東京新聞によると、多くの被害者遺族から顔写真や実名の報道を控えるよう要請がきています。その思いは胸に突き刺さります。

 社会部の意見は割れ、平行線のままでした。(1)事件の重大性を社会が共有するために、9人全員の写真掲載は1度に限る(2)個別の写真掲載はできるだけ繰り返さない-。現段階ではこう結論付け、11日付朝刊に載せました。

 正しい判断だったのか、一切の顔写真掲載を避ける判断もあったのではないか。正解は見えず、社内の議論は続いています。
(西日本新聞社会部長・宮崎昌治)

=2017/11/14付 西日本新聞朝刊=

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