留学生、日本語学校提訴 学費稼げず滞納「退学は不当」 佐賀地裁

 佐賀県鳥栖市の日本語学校で学んでいたスリランカ人留学生の男性(30)が、半年先の学費を滞納したことを理由に退学処分とされ、精神的苦痛を受けたとして学校側に処分取り消しと慰謝料など約254万円を求めて佐賀地裁に提訴した。男性によると、学校側から「月200時間働ける」などと虚偽の説明を受け、多額の借金をして来日したが、実際は入管難民法の就労制限で週28時間しか働けず、学費が払えなくなったという。

 訴状や男性によると、男性は2016年、鳥栖の学校を「母校」とするスリランカの日本語研修学校で「仕事は二つできる」「時給800円で月200時間稼げる」などと説明を受け、留学を決意。現地での仲介手数料や1年分の学費60万円などのため約150万円を借金で用立て、同年10月に来日し入校した。

 男性は当初、弁当工場や運送会社で二つの仕事を掛け持ち、収入は月20万円ほど。うち、借金返済などのため10万円を母国に送金していた。今年1月からは2年目の学費として毎月3万円を学校に前払いした。ところが、3月に就労制限を超えて働いていることを入国管理局から指摘されて仕事が減り、4月以降は学費が払えなくなったという。

 学校側は6月、前納分の学費の支払いが3カ月滞ったなどとして男性を退学処分にした。ただ、男性は既に11月分までの学費を払っており、佐賀地裁に地位保全を求めて仮処分を申し立てた。地裁は10月、復学を認め、男性はいったん復学したが、生活を続けることができず今月帰国した。

 同校の理事長は取材に対し、「200時間働けるなどと説明するわけがない。学費の滞納のほか、学習意欲が低いなど他の学生への悪影響もあったことが退学の理由。学費を払う能力があるように偽造した書類を提出しており、こちらの方が被害者だ」と話した。

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「就労時間説明と違う」 学校側反論「ルール話した」

 「まさかこんなひどい目に遭うとは思わなかった」。日本語学校に慰謝料などを求めて提訴したスリランカ人留学生(30)は、西日本新聞の電話取材に憔悴(しょうすい)した様子で話した。労働移民は受け入れないとする日本の政策の陰で、働くための手段として「留学」を選ぶ外国人は少なくない。特に多額の借金を抱えて来日する途上国の留学生は立場が弱く、男性の行動はこうした現状に一石を投じた形だ。

 男性は6月に退学処分を受けて以来、アルバイトもできなくなった。生活ができず、今月17日に帰国した。借金はまだ100万円ほど残っているが、現地では月給数万円が平均的で返済の見込みはないという。

 男性は出稼ぎ目的だったことを認め、「妻子や親に楽をさせてやれると思った」と言う。スリランカで開かれた留学前の説明会では、日本語学校の理事長から通訳を交えて説明を受けたといい「週28時間という就労制限の話は一切なかった。だまされた」と憤る。

 これに対し、理事長は「週28時間のルールを守らず、日本にいられなくなった悲惨な留学生の事例を、感情を込めて説明した」と反論する。ただ、同校が提携する現地の研修学校のフェイスブックには、日本の学生ビザで仕事をしながら学んで稼げるとする「LEARN & EARN in JAPAN STUDENTVISA with 100%jobs」など誤解を招くような投稿も。理事長は「学生の募集は現地に任せており、宣伝には関与していない」と話した。

 留学生政策に詳しい佐藤由利子東京工業大准教授は「日本は他国と比べて、私費留学生の募集・選抜や、正しい留学情報の発信に、十分に取り組めておらず、制度をもっと整える必要がある」と訴えた。

=2017/11/21付 西日本新聞朝刊=

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