働く子育てママ 互助 熊本市で「コラボワーク」開始 農作業手伝い、託児は分担

ミカン畑で袋掛けの作業をする母親たち
ミカン畑で袋掛けの作業をする母親たち
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仕事中の母親たちは「託児」シフトのメンバーに子どもを預けることができる=いずれも熊本市西区
仕事中の母親たちは「託児」シフトのメンバーに子どもを預けることができる=いずれも熊本市西区
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 子育て中の母親たちがグループをつくり、勤務時間や役割を調整し合う「コラボワーク」という新たな働き方が熊本市で始まった。子どもの急病などによる欠勤を補い合えることや、気軽に短時間勤務ができるのがメリット。昨年4月の熊本地震以降、熊本で人手不足に拍車が掛かる農家からも、ママたちの活躍に期待の声が高まっている。

 11月上旬の平日午前10時すぎ。収穫期を迎えた熊本市西区河内町のミカン畑で、4人の母親たちが形の良いミカンに袋を掛けていた。10カ月の子を育てる貢朋美さん(34)は「育児と家事の毎日にもんもんとして投げ出したくなるときがある。短くても自分の時間に集中できるのがいい」。2時間の作業中は、保育士の資格を持つメンバーらが近くのコミュニティーセンターで子どもを預かる。

 依頼したミカン農家上村勇平さん(28)によると、袋掛けをした実は、ゆっくりと熟して糖度が上がるため単価は倍以上になる。ただ手間がかかるため、近年は作業を諦めていたという。「収穫期にはこれからもお願いしたい」と言う。

 コラボワークに取り組むのは、配偶者の転勤を機に熊本市に転居した母親たちのサークル「熊本転入ママの会 くまてん」。2014年に全国に先駆けて始めた三重県のNPO法人「マザーズライフサポーター」からノウハウを学んだ。

 15人ほどの母親で「勤務、託児、待機」の三つのシフトを回す。急用などで参加できない場合は待機メンバーと交代。報酬はメンバーで分け合っている。

 日当は1人千円と小遣い程度だが、就労のハードルが下がることで母親たちの孤立防止にも効果が期待できる。東山恵子代表は「出産後は子どもにつきっきりで社会から取り残されていると感じるママは多い。作業を通じて地域の一員と思えるようになる」と話す。

 熊本県内は復旧・復興関連の求人増で、有効求人倍率が1・58倍(9月)と全国平均を上回る。特に農業の担い手は不足しており、農家と母親たちを仲介するJA熊本中央会担い手・法人サポートセンターの本田健志さんは「選果場やハウス栽培の収穫の手伝いなど活躍の場を広げたい」と話している。

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■主婦、高齢者拡大の兆し

 「コラボワーク」は、全国でも時間や体力面で制約がある主婦や高齢者の間で広がりつつある。業務内容は農家や工場の作業にとどまらず、企業の一部業務を代行する団体も。慢性的に人手が不足する中、雇用主にとっても安定した労働力を確保できる利点がある。

 宮城県南三陸町では、子育て中の母親らがチームを組み、菊やトマトを栽培する小野花匠園=同町=の1週間分の作業を請け負う。東京の「セタガヤ庶務部」には主婦ら約300人が登録。企業などから依頼されるアンケート集計やホームページ作成などの業務ごとにフェイスブックでメンバーを募り、チームで担当している。先駆けとされる三重県のNPO法人「マザーズライフサポーター」は、イチゴ農家や食品工場、高齢者施設など約20カ所に派遣先を増やしつつある。

 リクルートジョブズ広報の福田愛さん(33)は「補い合うことで主婦はコミュニケーション能力を、シニアは経験を生かせる。雇用主側の受け入れ体制が整えば、地域や業種を問わず広がっていく」とみる。

=2017/11/26付 西日本新聞朝刊=

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