熊本地震、低湿地農地を壊す 60年代整備前の凸凹に 水はけ悪く大豆不作

写真左は、ドローンで撮影した熊本地震後の秋津地区の農地。青い部分は地表が大きく沈んだ箇所を示す。写真右は、農地整備前の1960年代の空中写真に現在の農地の形を重ねて赤い実線で示した。濃い灰色の部分は水路で、白色い箇所は水田。左右の写真を比較すると、水路だった箇所が大きく沈下したことが分かる(左は農研機構農業環境変動研究センター、右は国土地理院提供)
写真左は、ドローンで撮影した熊本地震後の秋津地区の農地。青い部分は地表が大きく沈んだ箇所を示す。写真右は、農地整備前の1960年代の空中写真に現在の農地の形を重ねて赤い実線で示した。濃い灰色の部分は水路で、白色い箇所は水田。左右の写真を比較すると、水路だった箇所が大きく沈下したことが分かる(左は農研機構農業環境変動研究センター、右は国土地理院提供)
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 昨年4月の熊本地震の影響で、区画を集約・整備した低湿地の大規模農地の各所に段差が生じる被害を、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の九州沖縄農業研究センター(熊本県合志市)が確認した。調査した熊本市東区の秋津地区では地震後、水路と水田が入り組んでいた1960年代の地形が浮かび上がって凸凹が生じ、大豆などの収量減の要因となっている。

 同センターは昨年6月以降、県などと共同で小型無人機ドローンを使い秋津地区の農地188ヘクタールのうち約30ヘクタールを上空から撮影した。画像を分析したところ、地震後に8~15メートル間隔で「不陸」と呼ばれる20~40センチの高低差が生じ、国土地理院が60年代に上空から撮影した当時の地形とほぼ一致することが分かった。

 同センターによると、当時は現在より狭い帯状の水田が一定間隔で並び、水路が取り囲んでいた。県は80年、秋津地区で規模拡大や効率化のための農地整備に着手し、94年に完了。昨年の地震では、かつて水路だった箇所が大きく沈み、農地だった箇所は沈みが小さかった。西南学院大の磯望教授(自然地理学)は「水路を埋め立てた土は粒子と粒子の隙間が多く、地震の揺れに伴う液状化現象によりその隙間が埋まり、大きく沈下した」と指摘する。

 地元の土地改良区によると、地区のほとんどの農地で被害を確認。農地のくぼみに水がたまるなどして湿害が起き、調査した30ヘクタールの大豆の収量は地震前の約5割に落ち込んだ。農地に段差があるため、農機を使った作業に支障も生じているという。

 隣接する同県益城町も調査し、同様の被害を確認したという。九州は佐賀平野や筑紫平野など低湿地の農地が多く、同センター研究総括の岡本正弘さん(61)は「地震が起これば同じ現象があり得る。かつての農地の状況を知っておけば被災後に転作すべき作物などが選択しやすい」と話す。

 秋津地区は県内有数の水田地帯として知られるが、地震で送水管も損壊し一部を除く農家が昨季と今季の田植えを見送り、大豆などの栽培に専念している。

=2017/11/27付 西日本新聞朝刊=

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