インフルワクチン不足 一部で予防接種困難 製造遅れ供給追い付かず

優先順位を決めてインフルエンザの予防接種をする辻裕二院長(右)=4日、福岡市東区
優先順位を決めてインフルエンザの予防接種をする辻裕二院長(右)=4日、福岡市東区
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 インフルエンザの本格流行を前にワクチン不足が続いている。医療機関は一部の予防接種希望者に応じられず、行政は接種費用助成期間を延長するなど対応に追われている。今夏は日本脳炎、昨年度ははしか=麻疹(ましん)=のワクチンが不足するなど、予防接種を巡る混乱は繰り返されている。

 「1日数人は断っている。高齢者などを優先しないと」。福岡市東区の辻内科クリニックの辻裕二院長は、インフルエンザの予防接種希望者の対応に苦慮している。例年、11月末までに約700人に接種するが、今季はまだ400人程度にとどまっているという。

 今季はワクチン製造に使う予定だったウイルス株が育たずに選び直し、株の決定が約1カ月遅れた。製造も繰り下がり、例年なら10月には始まる医療機関への供給が追い付いていない。今月中旬には不足解消の見込みだが、佐賀県、福岡県朝倉市などは年内だった高齢者の接種費用助成を来年1月末まで延長した。辻院長は「手洗いやうがいでも予防できる。焦らなくても大丈夫」と呼び掛ける。

 ワクチン不足は子どもの定期予防接種でも発生。北九州市若松区のあまもと小児科では、6~9月は日本脳炎ワクチンが足りず、春先まで麻疹風疹混合(MR)ワクチンが品薄だった。定期接種年齢を超えると、1回数千~1万円前後の自己負担が必要なため、天本祐輔院長は「諦める親が出ると、集団感染予防の効果が薄れる」と気をもんだ。

 日本脳炎は、熊本地震で被災した化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)の供給が5月に停止したことなどが影響。日本小児科医会の7月の調査では45都府県で不足し、化血研のシェアが高い九州では不足が目立った。化血研によると、来年1月には供給再開の予定。

 MRは昨夏、関西空港でのはしかの集団感染を機に品薄に。定期接種が不十分だった20~30代が任意接種に殺到したためだ。集団感染予防には接種率95%を保つ必要があるが、昨年度の年長児は93・1%。接種勧奨を控えた自治体もあり、鹿児島県90・6%▽福岡県91・2%▽熊本県91・7%などと落ち込んだ。

 ワクチンは製造期間が長い半面、有効期限が短く、想定外の需要に即応できない。日本小児科医会の峯真人理事は「正確な需要予測や有効期限の再考などで、早急に安定供給体制を構築すべきだ」としている。

=2017/12/05付 西日本新聞朝刊=

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