スプリンクラー設置65% 長崎グループホーム火災で義務化 小規模福祉施設 費用負担重く

長崎市のグループホーム「四季の春」が設置しているスプリンクラー
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 長崎市内の認知症高齢者グループホームで5人が死亡した火災を機に、2年前にスプリンクラーの設置が義務付けられた小規模の福祉施設のうち、対策を終えたのは全体の65・0%(6月1日時点)にとどまっていることが総務省消防庁の調査で分かった。対策の遅れの背景には多額の費用負担があるとみられ、改正消防法施行令が定める設置期限(来年3月末)での対策完了は見通せない状況となっている。

 長崎市のグループホーム火災は2013年2月に発生。施設の防火体制に不備があったほか、所管する行政の部署間で情報が共有されていなかったことなどの問題が表面化した。

 消防庁は15年4月に消防法施行令を改正し、延べ床面積275平方メートル以上の施設に義務付けていたスプリンクラーの設置を、小規模施設にも拡大。小規模の乳児院や障害者施設、特別養護老人ホームなども対象となり、既存の建物への設置期限は18年3月末とした。

 だが、小規模の福祉施設での設置は遅れており、今回の調査では特に東京(25・8%)、大阪(38・2%)など施設数が多い大都市部で設置率が低かった。九州で最も高かったのは鹿児島の91・5%、低かったのは大分の68・8%だった。

 関係者によると、設置遅れの要因の一つは高額な工事費用。機材の種類や立地で異なるが、数百万円は必要という。設置後に半額程度の国の補助はあるものの小規模施設にとっては初期投資の負担が大きい。賃貸物件では工事を伴う設置にオーナーの理解が得られないケースもあるという。

 長崎県認知症グループホーム連絡協議会副会長で、長崎市のグループホーム「四季の春」の相田亜希子ホーム長(46)は「古い建物なら、スプリンクラー設置のため建て替えが必要な場合もある。介護報酬が減額傾向の中、資金面に余裕がない施設もあるはず」と話す。

 未実施の施設の多くは消防庁に設置の意向を示しており、来年3月末の設置率は全国平均で95・0%、九州各県は95・4~100%になる見通し。ただ、実際の費用が高くて実施できないケースも予想され、見込みの設置率から大幅に下がる恐れもある。消防庁予防課は「利用者の命を守るため必要な措置。施設管理者は計画的に設置を進め、自治体は適切に指導してほしい」としている。

【ワードBOX】長崎グループホーム火災

 2013年2月8日夜、長崎市東山手町の認知症高齢者グループホーム「ベルハウス東山手」から出火し、入所者5人が死亡、職員を含む5人が重軽傷を負った。施設の運営会社側は、法令が定める延べ床面積の基準を下回っていたとしてスプリンクラーを設置していなかったが、長崎県警は施設管理者の居住部分の一部も施設と認定して業務上過失致死傷容疑で立件。この火災を機にグループホームは原則、面積にかかわらずスプリンクラー設置が義務付けられた。火元はリコール対象の加湿器だった。

=2017/12/10付 西日本新聞朝刊=

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