規制後も悲劇絶えず 佐世保銃乱射から10年 現場で関係者ら犠牲2人を追悼 許可銃の管理「議論を」

 長崎県佐世保市のスポーツクラブで8人が死傷した散弾銃乱射事件から14日で10年を迎えた。現場となったクラブでは朝礼でスタッフらが黙とうし、亡くなった2人を追悼した。

 事件は2007年12月14日夜に発生。クラブの会員だった男=当時(37)=が散弾銃を持って館内に侵入、従業員や利用者に向けて発砲し、水泳指導員の女性=同(26)=と、男の友人の男性=同(36)=が死亡、6人が重軽傷を負った。男は散弾銃で自殺した。

 クラブを運営するルネサンス(東京)は12月14日を「安全の日」と定め、全国の店舗で防犯設備などを点検している。同社は「あらためて事件で亡くなった2人に哀悼の意を表する」とのコメントを出した。

 長崎県佐世保市で2007年に起きた散弾銃乱射事件は、銃所持の規制を強化する法改正の契機となった。許可銃の数は07年の約32万8千丁から16年は約19万5千丁に減少。一方で、こうした銃が使われる事件は後を絶たず、さらなる規制を求める声もある。専門家は銃の管理の在り方について議論の必要性を訴える。

 散弾銃やライフル銃、空気銃の所持は銃刀法で原則として禁止されているが、狩猟と有害鳥獣駆除、標的射撃などの目的に限って都道府県公安委員会の許可があれば所持が可能。佐世保市の乱射事件では、許可を得た散弾銃が使われた。

 長崎県警は事件後、猟期以外は発砲に不可欠な部品「先台(さきだい)」を警察に預けるよう指導を徹底。提出される件数は翌年倍増したが、最近は減少傾向とみられる。県猟友会は「先台を預けていたら突然出没する鳥獣に対応できない」と漏らす。

 改正銃刀法は08年に成立。(1)ストーカー行為で警告などを受けた人(2)ドメスティックバイオレンス(DV)の加害者として裁判所から命令を受けた人(3)破産手続きの開始決定を受けた人-などは許可されなくなった。それでも重大事件は続き、大阪府では10年、男がライフル銃で3人を射殺する事件が発生。11年には鹿児島市で交際相手の男に女性が射殺される事件が起きた。

 立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は「事件をなくそうと思えば、施設での共同管理で銃に手が届きにくくするしかないが、管理費用や鳥獣対策を考えると現実的でない」と指摘。その上で「一括して管理するために税金を使うのか。それとも犯罪は起きるかもしれないというある程度のリスクを負うのか。国民全体で議論すべきだ」と話す。

=2017/12/15付 西日本新聞朝刊=

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