朝鮮通信使で釜山に記念館計画 記録333点全て紹介 記憶遺産申請の財団

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 江戸時代に朝鮮半島から日本に派遣された外交使節「朝鮮通信使」の関連資料が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(世界記憶遺産)に登録されたことを受け、長崎県のNPO法人と共同で登録を申請した釜山文化財団(韓国・釜山市)の柳鐘穆(ユジョンモク)代表理事が西日本新聞の取材に応じ、日韓に分散する記録物333点を全て紹介する新たな記念館を同市に建設する計画を明らかにした。「平和外交」の教訓を学び、日韓連携の成果を確認できる拠点になりそうだ。

 財団は、通信使の発着場に近い釜山北港再開発地域に、早ければ2020年までに建設する方向で、釜山市と協議中。5階建てで、延べ1万3千平方メートル。記録物の展示のほか、教育施設、釜山の観光PR施設なども設ける方針。事業費は最大1千億ウォン(約100億円)に上る見込みで、釜山市や国に拠出を求めている。

 世界の記憶に登録された朝鮮通信使の外交記録や旅程記録など333点は、日韓の博物館や図書館、寺などに広く分散しており、公開方法が課題になっていた。財団は、釜山博物館が所蔵する記録物10点の一部は記念館に移転させたい意向だが、ソウルや日本各地にある記録物はレプリカや映像などで紹介する計画。

 財団はこのほか、「現代版通信使」として、釜山を中心に韓国の芸術家や若者計40~80人を朝鮮通信使ゆかりの日本各地に派遣して交流する事業も計画している。柳代表理事は、記念館について「早ければ3年、遅くても5年以内の完成を目指す。これから発見される記録物も所蔵し、朝鮮通信使を後世に伝える施設にしたい」と話した。

 財団を財政面などで支援する釜山市の徐秉洙(ソビョンス)市長も取材に応じ、「平和を象徴する通信使が韓日の地方間の連携により登録され、両国内に良い影響を与えているのは大きな意味がある」と指摘。「今後も文化、芸術、若者などの交流がさらに進むよう支援したい」と話した。

 朝鮮通信使関連資料の世界の記憶登録は、同財団と長崎県対馬市のNPO法人「朝鮮通信使縁地連絡協議会」が共同申請した。 (ソウル曽山茂志、釜山・竹次稔)

=2017/12/17付 西日本新聞朝刊=

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