【灰色の街に生きて セックスワーカーたち】(4)消費され続けるJK

街を歩く女子高校生。利用したい大人たちからは「商品」と見られている
街を歩く女子高校生。利用したい大人たちからは「商品」と見られている
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 甘えた声で客との「オプション交渉」を再現してくれた。「どういうのがしたいですかぁ。割と人気なのは、添い寝とかぁ、ハグとかぁ」。東京・新宿で取材に応じたナオさん=仮名=は2年前までJKだった。

 女子高校生の親密なサービスを売りとしたJKビジネスに身を置いていた。主に五つの形態がある。マッサージが基本の「リフレ」、「散歩」は文字通りで、「カフェ」は飲食、「コミュ」は会話を楽しむ。制服姿で折り紙をする様子などを見せるのは「見学・撮影・作業所」に分類される。

 最初はJKリフレに入店した。時給千円、添い寝やハグに応じると追加で数千円。性的サービス禁止は表向きで、胸を触らせればもっともらえる。オプション料は全て取り分となり「腕の見せどころでした」。

 警察庁によると、6月末現在で114店あり、9割以上が東京、大阪に集中する。「売春の温床になる」として取り締まりが強化されても形を変えるだけで、人気ブランドに群がる業者とのいたちごっこが続く。

 ナオさんも「価値があるのにお金に換えないのはバカ」と思い、もっと割の良いJK散歩に移った。外で待ち合わせてホテルへ。管理の目が届かないという建前から「裏オプション」の売春を繰り返した。1回で3万円。嫌な行為を要求されても「高校生だよ、いいの? 警察に行く?」で済む。得た金で好きな俳優を追い掛けた。

 ただし、高校を卒業したとなった途端、指名は激減する。「ロリコンって薄情だな。もっと巻き上げてやりたい」。さらにのめり込んだ結果、心を病んだ。

 人の価値って何だろう。今年、20歳になった。

    ◇    ◇

 「JKという記号は男性客にも都合がいい」。JKビジネスの実態を調査した一般社団法人ホワイトハンズ(新潟市)の坂爪真吾代表理事は指摘する。九州で業者は確認されていないが、最近も福岡県内の2人が出会い系サイトを介した買春などで有罪判決を受けている。彼らの都合とは-。

 5人と関係を持った40代は「若い子だと無心になれた」と打ち明けた。妊娠した妻に「外で処理して」と突き放され、職場のストレスも重なっていた。仕事がきついほど、大人の女性では物足りなかったという。

 6人を相手にした30代の会社員はスマートフォンに「すぐ会える」とうたったサイトをいくつも登録していた。18歳未満に手を出せば犯罪になる。その不可侵性がかえって「達成感と満足感」を増幅させた。「直後は逮捕されるシーンを想像して怖かった。それでも興奮を忘れられなくて」

 今年7月、東京都がJKビジネスを規制する条例を施行し、包囲網は狭まっている。それでも大人たちが女子高校生を商品と見る限り、価値は温存される。坂爪さんは「出会い系サイトに移るだけで、援助交際に戻っていく」と予想する。

 グレーな世界から見えない闇へ。少女たちは消費され続ける。

=2017/12/16付 西日本新聞朝刊=

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