島に移住、17歳輝く 白鳥さん、東京から鹿児島に 漁業手伝い、学び、触れ合う 「自ら考え、積極的になった」

揺れる海の上の作業場で、ヒオウギガイの出荷作業をする白鳥優季さん=13日、鹿児島県長島町
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 島々が連なる鹿児島県北西部の長島町に今秋、東京から女子高校生が移住した。通学時間の長い東京の学校に足が向かなくなった高校2年の白鳥優季(ゆうき)さん(17)。島に高校はなく、教育拠点「長島大陸Nセンター」で学びつつ、水産業を手伝う。「自然にあふれ、人も温かい。島暮らしもいいかな」。一緒に移住した家族とともに生き生きと、新天地で根を張りつつある。

 12月中旬、町北部の諸浦港。海上の作業場で白鳥さんは、地元特産の養殖ヒオウギガイの出荷作業のアルバイトに汗を流した。口紅も引く今どきの女の子。網に入った小魚をつかみ「かわいいー」と声を上げた。

 白鳥さんを雇う水永一朗(かずあき)さん(49)が貝の刺し身を差し出すと「甘い。都会じゃあり得ない経験」と頬を緩ませた。「汚れてもお構いなし。とてもたくましい」。何にでも興味を持つ姿に水永さんの方が驚く。

 白鳥さんは都立の進学校に通っていた。しかし自宅から電車を乗り継ぎ片道約2時間。朝がつらく、1年の2学期から休みがちになった。2年生になると午後からの登校が続いた。「生活リズムが崩れていた」

 そんなとき、母の薫さん(47)が長島町への移住を提案した。2007年に唯一の高校が閉校し、若者流出に悩む町は昨年8月、通信制高校「N高校」(沖縄県)の教育拠点「長島大陸Nセンター」を役場に開設。薫さんは、知人で町の地域おこし協力隊を務める土井隆さん(32)からセンターの話を聞き、通学時間にとらわれず学習できる環境が、娘にぴったりではと思った。

 白鳥さんは「環境が変われば、自分も変われるかも」と決意。10月末、中学2年の弟、聖(あきら)さん(13)と家族3人で移住した。薫さんは町の地域おこし協力隊に採用された。

 町には、センターで多様な学びの形を提供しつつ、若者に島の魅力を体感してもらい、定住につながらなくても「長島ファン」を増やしたいとの思いがある。

 センター初のN高生となった白鳥さんは朝から養殖を手伝い、午後から授業の動画を見ながら勉強をする生活。町の地域おこしイベントにも加わるなどして、友人も増え始めた。「以前より自ら考え、積極的に動くようになった」と感じている。

 来年2月には出荷のピークを迎えるアオサ養殖の手伝いもするつもりだ。将来的な定住は「全く分からない」。それでも、今はいろんな経験をしてみたいと目を輝かせる。「もっと長島を知って好きになりたい」

【ワードBOX】長島大陸Nセンター

 鹿児島県長島町が、N高校を運営する学校法人角川ドワンゴ学園と連携し、役場の空き室に開設した教育拠点。無料の公衆無線LAN「Wi-Fi(ワイファイ)」が整備され、N高配信の授業動画を見ることができる。町はセンターを拠点に、N高生らを対象にした職業体験プログラムも実施している。N高は全国で4553人(12月現在)が在籍。来年4月には福岡市に、対面授業が受けられる福岡キャンパスが開校する。

=2017/12/25付 西日本新聞朝刊=

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