鎮西、震災乗り越え頂点に 全日本高校バレー 体育館損壊、各地で練習 鍬田主将「多くの支えに感謝」

優勝し、畑野監督と喜びを分かち合う鍬田憲伸主将(右)
優勝し、畑野監督と喜びを分かち合う鍬田憲伸主将(右)
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 バレーボールの全日本高校選手権の決勝が8日、東京体育館であり、男子は鎮西(熊本)が制した。2016年4月に発生した熊本地震を乗り越え、昨夏の全国高校総体との2冠を達成。苦労を知る保護者や関係者が詰め掛けたスタンドからは大きな拍手が起きた。

 熊本市中央区にある同校の体育館は、地震で大きな被害を受けた。宮迫竜司コーチ(26)は「もう駄目かもな、と思った。倒壊は免れたけど、全壊に近い状態だった」と当時を振り返る。多くの先輩が汗を流した体育館の天井は落ち、使えなくなっていた。

 大切なボールなどの用具は、宮迫コーチらがヘルメットをかぶって体育館から運び出した。地震発生から約2週間後に、23人の全部員が同校の土のグラウンドで練習を再開。その直後には交流がある佐賀学園の厚意で、震災後初めて体育館で汗を流した。宿泊場は剣道場を提供してもらった。

 OB会などの協力で、26人乗りの中古車のバスも購入。練習できる体育館を毎日探した。遠くは県北西部の南関町まで片道1時間以上をかけて通った。ほとんどの体育館が一度に2時間しか借りられず、学校に戻ると月明かりの下での屋外練習で不足分を補った。

 厳しい練習環境は今も同じだが、当時2年生だった鍬田憲伸主将(18)は「本当に多くの方に支えてもらった」と感謝する。畑野久雄監督(72)は「どうなるんだろうという気持ちだった。でも、ピンチをチャンスに変えられた」。改修中の体育館は今夏に完成予定。1年生の水町泰杜選手(16)は「今までのことを胸にしっかり頑張っていく」と話した。

=2018/01/09付 西日本新聞朝刊=

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