工藤会裁判 「口座は全て組の金」 金庫番、総裁の脱税否定 福岡地裁

 特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)の上納金を巡る脱税事件で、所得税法違反の罪に問われた工藤会総裁野村悟被告(71)らの公判が11日、福岡地裁(足立勉裁判長)であり、共犯として起訴された同会幹部山中政吉被告(67)の被告人質問があった。山中被告は、資金を管理していた立場から「全て工藤会の金で、会のために使っていた」と説明。野村被告の個人所得で無申告によって脱税したとする検察側の主張を改めて否定した。

 検察側は、山中被告が建設業者などからのみかじめ料を三つの系列口座に分けて管理。このうち一つの系列口座は野村被告個人に帰属し、課税対象だと主張している。

 2000年4月に工藤会の経理責任者になったという山中被告は、捜査側から「みかじめ料」と指摘される金は「企業など支援者からの金」と説明。1割を運営費、残りを野村被告と溝下秀男前総裁(08年に死去)用の口座に分けていたと話した。一方、2人の金は他団体との交際費で、会のための「公務費」と証言。「野村さんは人様の金と自分の金を区別できる」として私的に使うことはないと強調した。

 自身や親族名義の複数の口座で管理していた理由は「(銀行が1千万円以上の預金について保護しない)ペイオフ対策だった」と主張した。

「組には2人の天皇」総裁、前総裁に交際費

 特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)の「金庫番」として15年以上にわたり資金管理を担当する山中政吉被告(67)は11日の被告人質問で、同会総裁、野村悟被告(71)について「北九州の抗争を治め、工藤会に尽力した人」と説明。2008年に死去した溝下秀男前総裁と並んで「工藤会には2人の天皇がいる」と述べた。

 山中被告によると、同会には「工藤会憲法」と呼ばれるものがあり、第1条は「会長は工藤会の象徴」という内容。溝下前総裁の生前、野村被告は会長で「2人は抗争のない北九州にした特別な存在」と強調した。このため、2人の他団体との交際費は同会が負担する決まりだったという。一方で、資金管理は「経理責任者として私に一任されていた」として、野村被告は関与していないと述べた。

 工藤会の資金以外に、野村被告が経営する駐車場売り上げや親族の生活費なども管理していた山中被告。野村被告から毎月末に約500万円受け取り、親族ごとに生活費を仕分けていた。山中被告が記していたメモによると、野村被告の子や妻、愛人の生活費は毎月20万~100万円という。

 質問に淡々と答えていた山中被告だったが、自身の親族の話になると涙を流す場面も。ただ、検察側の質問に対しては「ヤクザを知らない。もっと勉強してください」などと声を荒らげることもあった。

=2018/01/12付 西日本新聞朝刊=

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