企業情報の流出防げ 福岡県警「営業秘密保護対策官」

営業秘密保護対策官の沖健太郎警部
営業秘密保護対策官の沖健太郎警部
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 日本企業の高い技術力を狙い、外国のライバル企業などによる企業情報の流出が相次いでいる。一方で、「社の恥」として告発に及び腰な被害企業も少なくない。こうした状況を踏まえ、全国の警察は「営業秘密保護対策官」を配置した。福岡県警生活経済課の沖健太郎警部(50)もその一人。捜査や啓発活動に力を入れている。

 同対策官は2015年7月の不正競争防止法改正を受け、警察庁が各都道府県警に設置を通達。福岡県警では16年1月に新設し、17年春に沖警部が就いた。

 県警は17年7月に佐賀銀行の高額預金者リストを窃盗グループに流出させた元行員を、同年11月には以前の勤務先から顧客情報を持ち出した福岡市の健康食品会社の幹部らを、不正競争防止法違反容疑でそれぞれ逮捕した。いずれも、警察庁の研修などでノウハウを学んだ沖警部が捜査担当者から相談を受けたり、直接指揮したりした事件だ。「被害を最小に抑え、証拠隠滅を防ぐためには初動捜査が何より大事」と話す。

 改正された不正競争防止法は違反時の罰金について、企業の場合は3億円から10億円に、個人は1千万円から3千万円に引き上げた。それでも企業情報の流出被害は増えており、独立行政法人工業所有権情報・研修館(東京)によると、16年度の相談件数は全国で450件(前年度比200件増)に上る。

 経済産業省の調査によると、漏えい元の25%が「中途退職者」だった。県警に寄せられる相談も同業他社に転職した元従業員による情報流出が大半を占める。

 立件するには企業が情報を適正に管理していることが不可欠という。顧客情報を無施錠のまま社内に放置したり、社員の私物パソコンで取り扱ったりしていたケースもある。「管理態勢が甘いと流出した情報が法律上の『営業秘密』に当たらず、立件できない。泣き寝入りする企業は多い」

 定期的に企業セミナーで講演し、情報へのアクセス権限の設定や私用USBメモリーの使用禁止、防犯カメラの設置を呼び掛けている。沖警部は「スマートフォンの普及やサイバー攻撃の高度化で情報は流出しやすくなっている。企業側の理解を広げ、力を合わせて取り締まりたい」と話している。

=2018/01/15付 西日本新聞夕刊=

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