復興住宅戸数に苦慮 熊本地震1年9カ月被災の自治体 入居者予測難しく空室懸念 維持管理費で財政圧迫も

熊本県益城町で始まった災害公営住宅の仮申し込み=15日、益城町役場
熊本県益城町で始まった災害公営住宅の仮申し込み=15日、益城町役場
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 熊本地震の被災市町村が、自宅再建が困難な被災者のために新年度以降、整備を本格化する災害公営住宅(復興住宅)の戸数設定に頭を悩ませている。東日本大震災などの被災地では、住民の希望に沿った数を整備しても実際は入居しない世帯が相次ぐ空室問題が浮上し、維持管理費が財政を圧迫。16日に本震発生から1年9カ月を迎えた熊本県内の市町村は、既存の公営住宅の活用など過去の教訓を生かそうと模索中だ。

 「負の遺産にならないようにしたい」。15日に災害公営住宅の仮申し込みの受け付けを始めた熊本県益城町の担当者は強調する。町は2016年12月の住民意向調査を踏まえ当初は整備戸数を300戸としたが、17年7月の調査後には680戸に跳ね上がった。全てを新たな住宅にすると財政負担が重いため、民間物件の買い取りや借り上げを検討している。

 懸念するのは、東日本大震災の事例だ。福島県矢吹町では現在も全52戸のうち12戸が空室。町担当者は「土地取得などに時間がかかり、その間に被災者の自宅再建などが進んだ。空室の維持管理費がかさんで困っている」と明かす。宮城県の一部市町村は、被災者以外も入居可能にした。

 災害公営住宅は、国が整備費の4分の3を補助するが、土地取得や維持管理費は市町村が賄う。昨年10月末時点で熊本県内12市町村は1575戸を計画。ただし、仮設住宅や「みなし仮設住宅」などで暮らす4万1605人のうち、何世帯が自立再建し、災害公営住宅へ何世帯が入居するのか、正確な将来予測は難しいという。

 人口規模の大きい自治体は、財政負担を抑えながら被災者に住まいを提供するため既存の公営住宅を活用する方針だ。熊本市は新規整備戸数を現時点で150戸にとどめ、残りは市営住宅入居を促すことを検討。一方、公営住宅が少ない小規模自治体は、災害直後に整備した仮設住宅に着目。同県御船町は昨年末、木造仮設住宅の入居期間終了後の活用策を考える検討委員会を設立した。

 入居後は、入居者の高齢化や孤立化対策も課題となる。阪神大震災で被災した兵庫県では昨年11月、災害公営住宅の高齢化率が51・8%に上り、県営住宅の35・2%を大幅に上回った。そこで熊本県甲佐町は、子育て世代向け定住促進住宅を災害公営住宅の敷地に併設する計画。町は「多世代が交流できるようにしたい」とする。

=2018/01/17付 西日本新聞朝刊=

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