重症児預かり病院に助成 親の一時休息へ受け皿 福岡県と3市が予算措置

 子どもの難病である小児慢性特定疾病患者のうち、人工呼吸器を着けるなどの重症児を一時的に預かる病院への公的助成が福岡県で1月末にも始まる。自宅で24時間看護、介護する親たちの負担軽減を目的に、県などが予算措置した。在宅の重症児を預かる短期入所施設は少なく、子どもの医療に精通した急性期病院にも受け入れを促す。県によると、こうした助成制度の導入は全国でも珍しいという。

 小児慢性特定疾病は、子どもの難病のうち治療が長期にわたり高額の医療費がかかるとして、国が医療費助成の対象としている。現在は小児がんやダウン症など722疾病(約11万人)が指定されている。

 一時預かりの対象は、小児慢性特定疾病患者のうち(1)人工呼吸器を使用(2)たんの吸引が1日8回を超えるなど頻回な重症者-に限る。1泊2日などで預かる病院に、患者1人につき1日2万4千円が委託費として支払われる。

 急性期病院は預かり専用の病床確保が難しいことから、空き病床での受け入れを想定する。委託費は、受け入れにかかる新たなスタッフの確保や看護態勢づくりに活用してもらう。

 助成は国の補助制度を活用し、県、政令市、中核市が実施。今回は小児在宅医療を推進する福岡県が、家族を支える事業として福岡、北九州、久留米3市に呼び掛けた。4県市はそれぞれ2017年度予算に関連事業費を盛り込み、準備を進めてきた。

 たん吸引など日常的な医療的ケアが必要な重症の子どもは容体が変わりやすく、医療機関でない施設が預かるにはリスクが大きい。もともと急性期の総合病院の新生児集中治療室(NICU)出身者が多いことから、親たちや福祉関係者には、こうした病院での預かりを望む声が強い。

 県側は既に総合病院などに協力を打診。約10の病院が検討を進めているとみられる。県の担当者は「対象者は限定されているが、症状の重い子どもと暮らす家族の負担を減らす受け皿を少しでも増やせれば」と話す。
 
■助成対象難病に限定 重症児預かり 病院受け入れに限界も

 【解説】福岡県などが子どもの特定疾病患者のうち重症児を一時預かりする病院への助成に乗り出すのは、医療の進歩でたん吸引などの医療的ケア(医ケア)が自宅でできるようになり、こうした子どもを在宅で抱える家族が増えているためだ。ただ、対象となる子どもは一部に限られる。助成制度ができても、それぞれの「かかりつけ病院」が一時預かりを始めなければ事実上利用は困難で、当事者にとっては不公平感も残る。

 国の調査によると在宅で人工呼吸器を使う19歳以下はここ10年で10倍以上。学校に在籍する医ケアの幼児、児童、生徒も増加傾向にある。こうした子どもには重度の障害児も含まれるが、難病に限定した今回の制度では対象外となる。

 要件を満たす子どもでも、助成は預かる態勢を整えた病院の「手挙げ方式」であるため、かかりつけの病院が名乗りを上げなければ預けられないケースも出てくる。

 県側は相談窓口を設け、別の病院を紹介するなど対応する方針だが、そもそも一時預かりは空き病床で行うため、望む時期に利用できるとは限らない。受け入れを検討する病院関係者は「かかりつけの子どもの親が倒れた場合など、限定的な受け入れしかできないのでは」と話す。

 持続可能な在宅生活を支えるための重症児向けの短期入所サービスは道半ば。病院や福祉施設などの連携で対応できる余地はまだあり、公的支援と併せてサービス拡充に向けた取り組みが求められる。

=2018/01/23付 西日本新聞朝刊=

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