「観光カリスマ」後藤哲也さん死去 86歳 黒川温泉、人気観光地に導いた立役者

在りし日の後藤哲也さん=2004年撮影
在りし日の後藤哲也さん=2004年撮影
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 熊本県南小国町の黒川温泉郷を個性豊かな人気観光地に導いた立役者として、国土交通省の「観光カリスマ百選」にも選ばれた後藤哲也(ごとう・てつや)さんが22日、肺炎のため死去した。86歳。南小国町出身。「人は温泉にくつろぎを求める」と看破し、独自の感性で魅力ある温泉づくりを具現した生涯だった。

 阿蘇外輪山の北麓に旅館が立ち並ぶ同温泉郷は、都市部から交通の便が悪く、同じ熊本県・阿蘇地域の杖立温泉(小国町)や内牧温泉(阿蘇市)と比べて無名の時代が続いた。温泉旅館「新明館」の3代目として家業に入った後藤さんは、20代で旅館敷地内の岩山をのみで自ら掘り抜いて「洞窟風呂」を造り、度肝を抜く才覚を発揮した。

 温泉街の雰囲気づくりにも緻密に頭を使った。四季を彩る樹木の配置にこだわり、景観も黒に近い色でそろえるなど「黒川」として統一感を演出することに注力。「あたかも道が通路、各旅館が小部屋であるかのような街並み」と評され、全国屈指の人気温泉になった今日の姿に貢献した。

 集客に悩む全国の温泉地への助言に飛び回っていた2005年、観光を通した地域づくりへの思いを問うた本紙のインタビューで「温泉は体だけでなく、頭を癒やす時代になった。日本人の心理を先取りして、お客さんに満足を提供したい」と述べていた。これから先も生命を失わない言葉であり、観光カリスマの本領であろう。

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 後藤さんの葬儀は24日午前11時から、熊本市東区月出8の1の5、玉泉院月出会館で。喪主は妻智子(ともこ)さん。

=2018/01/24付 西日本新聞朝刊=

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