2地域居住始め時 平日は福岡、週末うきはで美術館 宗像にシェアハウス福岡と往来 「人生も仕事も豊かに」

古民家で私設の「加藤美術館」を運営する加藤正二さん=福岡県うきは市
古民家で私設の「加藤美術館」を運営する加藤正二さん=福岡県うきは市
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実家を改修してシェアハウスにした谷口竜平さん。初夏はウッドデッキから蛍が見える=福岡県宗像市
実家を改修してシェアハウスにした谷口竜平さん。初夏はウッドデッキから蛍が見える=福岡県宗像市
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 都市と地方の両方に生活拠点がある「2地域居住」が、働き方改革の中で注目されている。テレワークや在宅勤務が広がり、住む場所にとらわれずに働けるようになれば、都市生活と田舎暮らしを両立する可能性が増す。従来の高齢世代だけでなく、現役世代の新しいライフスタイルになる可能性がある。

 「ビル街の喫茶店でジャズを聴きながらコーヒーを飲むのが都会の良さ。柿の木の手入れをして、田舎の雰囲気を味わうのもいい」

 福岡市から南へ車で約1時間半。元会社社長の加藤正二さん(72)は耳納(みのう)連山の景色に魅了され、福岡県うきは市の古民家を十数年前に購入した。私設の美術館に改修し、好きな絵画や焼き物を展示する。平日の多くは福岡市南区の自宅で過ごし、美術館を開ける週末を中心に妻とうきは市へ向かう。

 地元を代表するイベント「筑後吉井の小さな美術館めぐり」に加わり、知人も増えた。市の「デュアルライフ(2地域居住)推進大使」として、うきは暮らしの魅力を伝える役割も担う。

 交通費や美術館の維持費は家計の負担になるし、もっと年をとれば移動がきつくなるかもしれない。それでも、2地域居住は「人生を豊かにしてくれる」と続けるつもりだ。

 現役世代も二つの地域を柔軟に行き来する。広告デザイナーの谷口竜平さん(37)は福岡市中央区と福岡県宗像市にアパートを借り、両方で仕事をしている。パソコンがあれば場所は問わない。

 3年前に相続した宗像市の実家をシェアハウスにしたのが転機となった。貸しスペースにした倉庫では、近所の農家や主婦など多様な人が食べ物を持ち寄って集まり、自身も交流を楽しむ。「住んでみると、地域の人との関係が密になる。福岡と宗像の両方の人脈で新しい仕事も生まれた」。2地域居住は仕事にもプラスになっている。

 2地域居住は、国や自治体が人口減少対策として着目している。宗像市は昨年4月に日本航空と協定を結び、2地域居住者の運賃割引を検討中。首都圏在住者を対象に、宗像暮らしの体験ツアーも企画した。

 2015年度の内閣府の世論調査によると、2地域居住に「関心がある」と答えたのは29・6%。国土交通省は17年度に宗像市など3カ所を調査し、普及の課題を洗い出す。

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 宗像市の体験ツアーは2月17、18日の1泊2日。イチゴの収穫などを体験し、移住者と交流する。定員15人。参加費は1万円。申し込みは1月28日まで。西鉄旅行北九州支店=093(563)3710。

=2018/01/26付 西日本新聞朝刊=

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