鉄路削減に諦めと困惑 JRダイヤ改正、対象列車ルポ 「慣れた学校通いたい」「乗客少なく仕方ない」

削減対象のJR吉都線最終列車。定時制高校生の通学のため平日に臨時運行する方針だ=1日午後9時40分ごろ、宮崎県都城市のJR都城駅
削減対象のJR吉都線最終列車。定時制高校生の通学のため平日に臨時運行する方針だ=1日午後9時40分ごろ、宮崎県都城市のJR都城駅
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3月のダイヤ改正で平日の定期運行が取りやめになる観光列車「はやとの風」=2日午後3時20分ごろ、鹿児島県霧島市のJR大隅横川駅
3月のダイヤ改正で平日の定期運行が取りやめになる観光列車「はやとの風」=2日午後3時20分ごろ、鹿児島県霧島市のJR大隅横川駅
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JR九州の古宮洋二常務鉄道事業本部長
JR九州の古宮洋二常務鉄道事業本部長
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 3月17日のダイヤ改正で、1日117本の運行本数削減などを計画するJR九州。沿線自治体から改正見直しの要望を受け一部の修正方針を固めたが、削減の大枠は変わらない見込みだ。運行取りやめが予定されている列車に乗車し現状を見るとともに、利用者や沿線住民の声を聞いた。

 1日午後9時半すぎ、宮崎県都城市のJR都城駅。待合室に利用客の姿はまばらだ。「最終列車がなくなったらどうすればいいのか…」。吉都線の列車を待っていた都城工業高2年の柿木大地さん(17)は戸惑いを隠さない。バレーボール部の練習後、帰りはいつもこの時間だ。ダイヤ改正で列車がなくなれば親の迎えが必要になる。「困ったなという感じ」とつぶやき、列車に乗り込んだ。

 午後9時45分、記者を含めて17人を乗せた2両編成の列車は、吉松駅に向けて動きだした。車内は多くが制服姿の学生で、飲み会帰りとみられるサラリーマンの姿もちらほら。

 乗客の1人に声を掛けると、都城泉ケ丘高の定時制に通う男子生徒(16)だった。通学に利用しており、この列車がなくなれば、通信課程がある宮崎市内の高校への転校も視野に入れなければならないという。「親は深夜に働いており送迎は難しい。環境が変わるのは不安だし、慣れ親しんだ学校に通い続けたい」と訴えた。

 JR九州はこの最終列車について、定時制高校生の通学を考慮し、学校のある平日のみ、運行を継続する方針に転換した。

 小林駅で大半の乗客が降り、車内は記者を含め3人に。えびの駅で塾帰りの女子高生が下車すると、終着駅の吉松まで乗車したのは記者だけだった。

   ◇    ◇

 翌朝、午前10時5分吉松発の都城行き減便対象列車にも乗車した。通院で利用する高齢女性、近隣の街に遊びに出かける女子高生5人組、パチンコをしに行くという高齢男性…。車内には空席が目立つ。

 入院中の妹の見舞いに行くという鹿児島県霧島市の境田タエ子さん(80)は「いつもは夫の運転する車で行く。こんなに乗客が少ないのでは、減便も仕方ないのかなと思う」と話した。

 鉄道は生活の足だけでなく、観光資源としての役割も大きい。吉松-鹿児島中央を1日2往復する観光列車「はやとの風」は平日の定期運行を取りやめる計画だ。午後3時1分の吉松発列車の乗客は、2両編成の車内に老夫婦や訪日外国人客など記者を含めて18人。

 停車駅のJR嘉例川駅周辺で町おこしに取り組む団体の山木由美子委員長(70)は「1日1往復でもいいから、平日も維持してもらいたい」としつつも、「『はやとの風』に頼らずに観光客に来てもらえる取り組みも考えないといけない」と前を向いた。

鉄道部門の効率化が必要

 ダイヤ改正の狙いや見直しの方針などについて、JR九州の古宮洋二常務鉄道事業本部長に聞いた。

 -大規模な減便を含むダイヤ改正の狙いは。

 「JR九州発足後、列車本数は1・8倍に増えたが利用者は1・3倍にとどまる。線区別に見ると利用者が減っているところもある。各エリアでのローカル線の意義を確認しながら、効率的に列車を動かすように検証した結果だ」

 -不動産など好収益事業で補填(ほてん)し、鉄道を維持すればよいとの意見もある。

 「“鉄道カンパニー”が大赤字のままでは、鉄道以外の事業の発展もない。株式上場が全く関係ないとは言わないが、民営化後30年間ずっと効率化に取り組んできた。増収施策や効率化で鉄道部門を良くしていく役目がある」

 -自治体などからは見直しを求める声が大きい。

 「必要であれば検討する。(ダイヤ改正後の)時刻表の発表時期を考えると今の時点で大きな見直しは難しく、一部修正になると思う。改正後も足りない部分は対応する」

 -自治体とのコミュニケーション不足だったようにも映るが。

 「沿線自治体それぞれに多様な意見があり、非常に難しいところ。最大公約数を見つけるのがダイヤ改正であり、どこに重点を当てるかは会社の判断だ」

 -どう理解を得るか。

 「定期的に地元の方々とつながりを持っていくことは必要と思っている」

=2018/02/12付 西日本新聞朝刊=

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