離脱組員に避難先の宿泊費支給 福岡県、全国初

 暴力団からの離脱支援を強化するため、福岡県と県警は4月から離脱を希望する組員に避難先の宿泊費や交通費を支出する制度を新設する。金銭的な理由で暴力団から抜けられない組員の離脱と社会復帰を支援し、暴力団勢力の切り崩しを進める狙い。特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)壊滅作戦を巡る裁判の証人らの保護対策も強化する。いずれも全国初の取り組み。県が県議会定例会に提案する2018年度一般会計当初予算案に関連予算計約5800万円を盛り込む。

 暴力団をやめたいと願っても、勤め先が見つからず、組にも妨害されて舞い戻る人は少なくない。県警によると、昨年までの数年間に、県外での就職面接の交通費や、新しい生活が軌道に乗るまでの宿泊費を工面できず、離脱を諦めた組員が十数人いたという。

 新制度では(1)組織から危害を加えられる恐れがある(2)家族や友人など頼る場所がない(3)所持金がなく、誰からも援助が受けられない-を条件に交通費や宿泊費などを支給。1人当たり20万円前後を想定する。

 証人の保護対策では、14年9月に始まった工藤会壊滅作戦を巡る裁判の証人や未解決事件の証言者が今後も増えることを想定し、保護を手厚くする。

 ビッグデータ解析などに詳しい大学教授らをアドバイザーに迎え、県警が保有する暴力団情報を基に、把握できていない暴力団の関係車両の割り出しや、保護対象者宅周辺を行き来する不審車両の走行経路を分析。襲撃の下見など「予兆行為」を早期にキャッチできるシステムの構築を目指す。保護対象者宅などに設置する遠隔監視機能付きの防犯カメラも大幅に増やす。

 昨年末現在の県内の暴力団勢力(構成員と準構成員数)は2040人で統計を取り始めた1992年以降最少。離脱した組員数も昨年1年間で121人、就職した元組員は17人に上る。

=2018/02/19付 西日本新聞夕刊=

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