売り手市場、企業苦心 会社説明会解禁 就活生に面接官選択権 地方で1日完結型選考

大勢の学生が詰め掛けた合同会社説明会=1日午前、福岡市中央区のヤフオクドーム
大勢の学生が詰め掛けた合同会社説明会=1日午前、福岡市中央区のヤフオクドーム
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 2019年春入社に向けた企業の会社説明会が1日解禁となり、本格的な就職活動が始まった。福岡市中央区のヤフオクドームで開かれた合同会社説明会には、学生約1万1千人が集まり、各企業の採用担当者の説明に熱心に耳を傾けた。

 ヤフオクドームでの説明会は、リクルートキャリア(東京)が主催し、2日間の日程。初日は地場企業や全国大手など約290社が出展した。

 リクルートワークス研究所の調査では、大学生と大学院生の採用を増やすとする企業は15・8%で、前年比2・3ポイント上昇。人手不足を背景に、企業の採用意欲は旺盛で「昨年に引き続き、学生に有利な“売り手市場”が続いている」(リクルートキャリア)という。

 経団連の指針では、会社説明会の解禁を「3年生の3月」、面接などの選考活動開始を「4年生の6月」としている。ただ、指針にとらわれずに採用活動を前倒しする動きも広がっており、ある地場運輸業の担当者は「(大企業に)早めに内定を出されると選考途中で辞退される。優秀な学生の確保が難しい」と話した。

 人手不足に伴う“売り手市場”が続く中、企業は優秀な人材の確保に向け、新たな採用活動に挑むなど知恵を絞っている。

 新日本製薬(福岡市)は2019年春入社の選考活動で、学生が面接官を選ぶ新たな手法を導入する。同社は従来、人事部の担当者が1次面接に当たっていたが、今年は商品企画やウェブマーケティングなどを担当する20~40代の社員14人の中から、学生に面接官を指名してもらう。

 「現場で働く社員と直接語り合い、社員の人間性や業務内容、会社の理念に共感した学生を採用することで、長く活躍する人材を確保したい」と意気込む。

 IT企業のユナイテッド(東京)は16年度、説明会から筆記試験、最終面接までを1日で終える“1日完結型”の選考会を導入。これまでは東京だけで選考していたが「地方の優秀な学生に出会うチャンスがなかなかない」(井上怜採用育成部長)として、福岡、札幌、仙台、大阪の4都市でも選考会を始めた。

 1日完結型は、地方で暮らす学生の負担を軽減するだけでなく、知名度アップも狙う。井上部長は「『おもしろい採用をしている』と学生に注目してもらえれば、広報の観点からも効果がある」と語る。

 JR九州(福岡市)は2月中旬、写真共有アプリ「インスタグラム」を使った情報発信を始めた。若者に人気の会員制交流サイト(SNS)を活用し、関東や関西での認知度向上を図る。スターフライヤー(北九州市)は、優秀な人材を見落とさないよう、エントリーシートをより深く読み込むため、人工知能(AI)を活用する予定だ。

 就職みらい研究所の岡崎仁美所長は「人手不足は一時的ではなく構造的な問題で、各企業は新たな採用方法を模索している」と語る。

 学生有利の就職戦線とはいえ、学生側も必死だ。1日の合同会社説明会では、長時間労働が社会問題になっていることもあり労働条件や職場環境を気にかける学生が目立った。

 福岡女子大3年の学生は「やりたい仕事ができるかどうかが一番大事」としながら「ブラック企業は怖い。インターネットで会社の口コミや評価をチェックしている」。企業選びでは福利厚生も重視するという。

 西九州大3年の男子学生は「知人の会社員には、家に仕事を持ち帰る人もいる。企業に質問したくても(就活中は)さすがに聞けない」と不安そうに話した。

=2018/03/02付 西日本新聞朝刊=

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