全国で被災者援護金の滞納が多発 福岡沖地震から13年、6割が滞る「生活再建が進まず」

 20日で発生から13年を迎える福岡沖地震の被災者に対し、福岡市が1世帯当たり最大350万円を貸し付けた災害援護資金について、貸付総額6億7794万円(利息含む)のうち約6割に当たる約3億9417万円の返済が滞っていることが分かった。低所得の高齢者世帯などで生活再建が進んでいないことなどが理由。雲仙・普賢岳噴火災害(1990~96年)など返済期限が過ぎても自治体が債権回収できていないケースは全国で多発している。

 2005年の福岡沖地震では、福岡市や佐賀県などで最大震度6弱を記録し、1人が死亡、約1200人が負傷した。福岡市では災害援護資金の返済期限は2016年度まで。市保健福祉局は「貸し付け対象は低所得者で年金生活の高齢者もいる。生活再建がうまくいっていないケースが多い」と滞納理由を説明する。

 福岡市は1999年度以降、福岡沖地震以外の3災害でも災害援護資金を貸し付けており、返済を請求した計2億3209万円(利息含む)のうち7925万円が滞納状態。被災者の行方が分からなくなったために保証人に請求したり、被災者が自己破産したりしたケースもあるという。

 雲仙・普賢岳噴火災害では、長崎県島原市と同県南島原市(旧深江町)が計7億890万円を貸し付け、うち2312万円が滞納となっている。東日本大震災では岩手、宮城、福島3県の自治体が計493億1131万円、熊本地震では熊本県内16市町村が計12億8651万円、昨年の九州豪雨では福岡県朝倉市と同県東峰村が計2530万円を貸し出している。

 自治体は、滞納があった場合、貸付金の国負担分を、被災者に代わって国に償還することになっており、自治体担当者は「損害リスクが高く、自治体には大きな負担になる」と漏らす。

 内閣府は15年、貸付件数が特に多い阪神大震災に限り、破産者や生活保護受給者、少額返還者について返済免除を認め、この場合の自治体から国への償還も免除できると通知した。計777億円を貸し出した神戸市は通知に基づき計65億円の返済免除を決定。保証人の債権放棄にも踏み切り、さらに19億円が免除されることになった。担当者は「被災者の生活再建に道筋を付けることが重要と考えた」と話すが、返済免除は完済した被災者との不公平感をもたらし、「モラルハザード(倫理観の欠如)」を引き起こすという懸念も出ている。

【ワードBOX】災害援護資金

 災害弔慰金法に基づき、自然災害で負傷したり、自宅の全半壊などの被害を受けたりした被災者に最大350万円を市町村が貸し付ける制度。国が3分の2、都道府県か政令市が残りを負担する。貸付金が返還されれば、負担した国や自治体にそれぞれ戻し、滞納された場合は国分を自治体が肩代わりして償還する。被災者には所得制限があり、2人世帯の場合は前年所得の合計が430万円未満が条件。原則、返済期限は10年で利率は年3%(3年間は無利子)。

=2018/03/18付 西日本新聞朝刊=

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