従来のリスク評価を踏襲 玄海再稼働差し止め却下 「社会通念」割れる司法判断

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 【解説】九州電力玄海原発3、4号機の運転差し止めを認めなかった20日の佐賀地裁決定は、阿蘇山の噴火リスクを厳格に考慮して四国電力伊方原発3号機の運転を差し止めた昨年12月の広島高裁決定とは一転、運転期間中の破局的噴火の可能性は低いなどとした九電側の主張をそのまま認めた。具体的危険性が証明できなければ無視できる、とした従来のリスク評価を踏襲した形だ。

 原発を巡る最近の司法判断は「社会通念」をキーワードに割れている。

 日本が壊滅するような規模の破局的噴火は現在の科学的知見では予測不可能で、発生頻度は歴史的にみて1万年に1回程度ではないか、とされる。

 今回の佐賀地裁決定は、九電川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めを認めなかった2016年4月の福岡高裁宮崎支部決定を踏襲し、発生頻度が著しく小さいリスクは無視できるものとして容認するのが社会通念と指摘。噴火の可能性が根拠を持って示されない限りは、リスクとして想定しなくても「安全性に欠けるとはいえない」と判断した。

 一方の広島高裁決定は、社会通念について一定の理解を示しつつも「原子力規制委員会が最新の科学的知見と裁量によって策定した火山ガイドが考慮すべきと定めた自然災害について、判断基準の枠組みを変更することは許されない」として、ガイドを厳格に適用しなければならないとの考えを示した。

 高度な専門性が求められる原発の審査では、行政の裁量を幅広く認めるべきだとする1992年の最高裁判決がある。とはいえ、東日本大震災で経験したように、想定外の災害や事故はいつ起こるか分からない。安全性に対し、厳しい目を向け続けることが必要だ。

=2018/03/20付 西日本新聞夕刊=

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