「まるでジブリ」SNSで話題の森、人出急増で困惑 踏み荒らされ渋滞が頻発 福岡県篠栗町

「篠栗九大の森」では、ラクウショウが幻想的な景色をつくりだす
「篠栗九大の森」では、ラクウショウが幻想的な景色をつくりだす
写真を見る
森林保全のため九大職員がロープを張り立ち入りを禁じている
森林保全のため九大職員がロープを張り立ち入りを禁じている
写真を見る

 九州大と福岡県篠栗町が同町で一般開放している「篠栗九大の森」の風景画像が、「まるでジブリの世界」などと会員制交流サイト(SNS)で話題だ。目を付けた旅行会社がバスツアーを組むなど、突如として観光地化し、ここ1年で訪問者数が急増。開放は地域住民の散策などを想定し、観光地としては整備していなかったため、交通渋滞が頻発、森が荒らされるなどの問題が発生し、九大と町は対応に苦慮している。

 篠栗九大の森は、九大農学部福岡演習林(約480ヘクタール)の一部。九大が研究のため植林した桜やモミジなど約100種の樹木が四季折々に姿を変える。2010年度に「地元住民の健康づくりとヒーリングのため」、17ヘクタールが一般開放され、大学と町が遊歩道や広場、駐車場などを整備した。

 九大によると、来訪者はこれまで年間2万人程度だったが、17年春ごろから急増。紅葉の季節の同11月は1カ月で約3万人に上り、17年度の累計は2月までで12万人を超えた。毎週散歩に来る近くの男性(80)は「静かな森の雰囲気が変わった」と言う。

 きっかけはSNSに投稿された針葉樹ラクウショウの画像とみられる。北米の湿地帯などを原産地とする落葉高木。九大の森では池の中からそびえ、水面に樹影を映す。幻想的な風景を見せることから、SNSには「絵画のよう」「ジブリの世界観」などの書き込みが相次ぎ、「福岡のインスタの聖地」とさえ呼ばれる。注目した旅行会社がバスツアーを組み、今や佐賀県神埼市の国名勝「九年庵」などと並ぶ観光地として紹介する旅行広告もある。

 篠栗町も九大も当初は「PRになる」とテレビや旅行誌の取材に積極的に応じたが「想定以上の人気」となり困惑しているという。

 2カ所ある入り口に整備した駐車場(計50台)は乗用車向けで、大型バスは利用できない。観光バスが片側1車線の町道に停車して客を乗降させ、後続車が詰まることもある。大型連休や紅葉の季節となるとバスが連なり、渋滞が頻発するという。

 自然保全のため遊歩道や広場以外は立ち入り禁止だが、森や池に入り込んで写真を撮る人も少なくない。規制の看板やロープを設置して歩く九大技術職員の南木大祐さんも「広い森で苦労する。本来業務の研究補助が手に付かない」と困り顔だ。

 篠栗町は、踏み荒らされた森の回復のため一時閉鎖などを検討中。バスの駐車場整備も検討したが「ブームがいつ終わるか知れない。住民のための森なので、観光地としての整備はしない」と見送った。「交通の便が悪い場所だが、訪問の際は、なるべく公共交通機関の利用を」と呼び掛けている。開場は毎日午前6時~午後5時。

=2018/04/01付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]