降灰に風評、悩む地元 観光「温泉街影響ないのに」 新燃岳爆発的噴火1ヵ月

1カ月前に降灰被害を受けた原木。降灰後に成長したシイタケを採取する樋口さん(左)
1カ月前に降灰被害を受けた原木。降灰後に成長したシイタケを採取する樋口さん(左)
写真を見る

 霧島連山・新燃岳(しんもえだけ)(1421メートル)の7年ぶりの爆発的噴火から6日で1カ月。5日未明には5千メートルの噴煙が上がる爆発的噴火が起きるなど、終息は見えない。麓の宮崎、鹿児島両県では、農作物の降灰被害や畜産への影響が広がり、温泉街では宿泊キャンセルが相次ぐ。5月の行楽シーズンを前に、関係者は気をもみながら山の動きを見詰めている。

 「おなかに子がいる牛もおり、急な移動のストレスで事故が起きてはいけない。早めに避難させたい」。未明の爆発的噴火で火山灰が再び降り注いだ宮崎県高原町。大規模噴火が起きた場合に熱風被害を受ける恐れのある火口から約6キロの蒲牟田地区で65頭を飼育する和牛繁殖農家、反田吉己(たんだよしみ)さん(65)は話した。

 子牛生産が盛んな高原町では、2011年の爆発的噴火の際、住民の避難勧告後に急きょ牛を移送させた経緯がある。今回は大規模噴火の前に、蒲牟田地区の農家9戸が計約250頭を隣接する同県小林市へ先行避難させる計画を進めている。

 農家は降灰にも頭を悩ませる。「40年栽培しているが、こんなに廃棄したのは初めて」。鹿児島県霧島市隼人町のシイタケ農家、樋口孝さん(71)は嘆く。最初に爆発的噴火があった3月6日はシイタケ収穫の最盛期だった。火山灰がついたシイタケは商品にできず400キロほど処分した。

 ホウレンソウやキャベツなど収穫期を迎えた露地野菜も灰をかぶり、両県の農家や集荷場では、洗浄作業に追われる。「労力がかかり大変だ。このままでは出荷が遅れ、廃棄野菜が出そうだ」。飼料となる牧草が刈り取り期に入り、畜産農家からは「牛の発育に影響がなければいいが」と心配する声が上がっている。

 観光地も打撃を受ける。火口5キロ圏の宮崎県えびの市の国民宿舎「えびの高原荘」や、火口から約20キロ離れた京町温泉街と吉田温泉では計400件以上の宿泊キャンセルがあった。京町温泉旅館組合の仁科博組合長(58)は「風評被害だ。温泉街は火口から離れており、今のところ噴火の影響もないのに…。サービスを充実させながら客足が戻るのを待ちたい」と語る。

 鹿児島県側では、年間2万~3万人が訪れる高千穂峰への登山道が3月28日に開放され、5月にはミヤマキリシマが見頃を迎える。霧島市観光協会には噴火の影響について問い合わせがあるという。新畑幸一事務局長は「最新の火山情報を収集し、正確な情報を発信していきたい」と話す。

=2018/04/06付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]