「日本版海兵隊」世界が注視 佐世保で水陸機動団発足式

離島奪還を想定した訓練で敵役の陣地を攻める水陸機動団の隊員=7日午前11時ごろ、長崎県佐世保市の陸自相浦駐屯地
離島奪還を想定した訓練で敵役の陣地を攻める水陸機動団の隊員=7日午前11時ごろ、長崎県佐世保市の陸自相浦駐屯地
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 陸上自衛隊の離島防衛部隊「水陸機動団」の発足式典が7日、本部を置く長崎県佐世保市の相浦駐屯地であった。3月末の発足以来、部隊の公開は初めて。在沖縄米海兵隊が加わり、離島奪還を想定した訓練も披露された。

 水陸機動団は大分県内の駐屯地を含め約2100人態勢。中国の海洋進出を念頭に南西諸島の防衛力強化のため新設された。隊員ら約1500人が参加した式典では山本朋広防衛副大臣が青木伸一団長に団旗を手渡し「安全保障環境が厳しさを増す中、島しょ防衛は喫緊の課題」とする小野寺五典防衛相の訓示を代読。日報隠蔽(いんぺい)問題にも触れ、再発防止に万全を期すよう求めた。

 式典後、水陸両用車やヘリコプターを使い、占領された離島に上陸して制圧する訓練を公開。陸自ヘリと米海兵隊ヘリから同時に双方の隊員が降下するなど、日米の連携をアピールした。隊員輸送用として佐賀空港への輸送機オスプレイ配備も計画されているが、この日の訓練では米軍オスプレイの参加はなかった。

 小野寺防衛相は日報問題対応のため出席を取りやめた。

■離島奪還訓練に香港からも取材

 長崎県佐世保市で7日、初公開された「日本版海兵隊」とも呼ばれる水陸機動団。式典と訓練には国内だけでなく複数の海外メディアも取材に訪れた。基地の街・佐世保が、緊迫化する世界の安全保障環境の“最前線”に置かれたことを如実に物語っていた。

 訓練には水陸機動団約220人と在沖縄米海兵隊約20人が参加。駐屯地のグラウンドで、占領された離島を奪還する作戦を公開した。

 陸自ヘリ1機がまず偵察に近づき隊員たちが降下。海自護衛艦や空自戦闘機からの援護射撃を模した爆発音がした後、さらに陸自ヘリが加わって「敵」の陣地に攻撃。すると色の違うヘリ2機が並んで飛来した。

 陸自と米海兵隊の輸送ヘリだった。双方のヘリからロープが投げ降ろされ、隊員たちが降りてくる。「日米の両部隊が敵陣地を攻撃」。アナウンスの通り、息の合った動作を披露した。水陸機動団の基になった西部方面普通科連隊は2005年度から米海兵隊と訓練を積んできた。機動団発足後の本年度も米国での訓練に参加し、さらに連携を強化するという。

 水陸両用車10両も登場し、空砲射撃を実施。乗っていた隊員が降り、小銃で敵役に向かって空砲を撃ちながら前進、制圧-。あっという間の約20分だった。

 米国や香港メディアも取材に来ていた。香港メディアの記者に、なぜ来たのか尋ねると「南西諸島の防衛力強化のため、というからね」。彼らは、青木伸一団長の記者会見で繰り返し質問した。「離島が他国に攻撃される可能性はあると思うか?」「その場合勝ち抜く自信は?」

 答えは「可能性があるかないかは表現できない。そういうことが起こらないよう、しっかりした態勢をつくり、抑止効果を高める」「(奪還の自信については)答えるのは非常に難しいが、精いっぱい努力する」

 青木団長はこうも認めた。「発足はしたが、まだ能力は完全ではない。今後さらに錬成を積む」。離島を占領される事態が起こり得るのか。そんな状況になって訓練のように順調に奪還できるものなのか…。「世界」の視線がその可能性を冷静に捉え、佐世保に生まれた日本初の部隊を注視しているという現実に、重みを実感した。

=2018/04/08付 西日本新聞朝刊=

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