「こんなに長引くとは…」軒先・在宅避難なお548世帯 熊本地震で被災の益城町 再建見通せず

高木さん一家が寝泊まりしている農業用倉庫=熊本県益城町
高木さん一家が寝泊まりしている農業用倉庫=熊本県益城町
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 2016年4月の熊本地震で2度の震度7に襲われた熊本県益城町で、現在も全半壊した自宅や軒先の倉庫などで暮らし、修理や再建の見通しが立っていないとして町が見守り支援の対象とする世帯が548世帯ある。中には被災住宅の応急修理制度を使ったため、補修済みと見なされ仮設住宅に入れない世帯も。資金や建築業者の不足もあり、不安なままの生活が長期化している。

 自宅が全壊した益城町小池の農業高木サチ子さん(71)は、自宅の軒先に建てたビニールハウスや倉庫で夫(74)や長男(46)と寝泊まりしている。「この冬は特に寒くて地獄だった」。朝起きると飼い猫用の水が凍っていたり、強風でビニールハウスの天井がはがれたりしたこともある。軒先避難を始めてから、3回肺炎にかかったという。

 仮設住宅への入居申し込みは2度落選。庭に風呂やトイレを設置するため、やむなく応急修理制度(1世帯最大57万6千円)を利用した。補助を受ければ仮設には入居できなくなる。当時は一刻も早く自宅を再建するつもりだった。

 ところが、復旧工事の集中で建築業者が見つからず、軒先避難のまま2度の冬を越すことに。ようやく8月の着工が決まったが、年内は今の生活が続く。高木さんは「こんなに長引くとは思わなかった」と疲れた表情を見せる。

 同町馬水の井田ヒロミさん(85)は、半壊の自宅で次男(59)と暮らす。築45年の2階建ては、床や壁に亀裂が入ったままだ。

 地震当時、次男が病気で入院するなどしており、1人で仮設に入るのをためらった。応急修理制度で屋根などを補修。水道は1年待っても復旧せず、長男の知人に頼んで直した。

 床が傾いているせいか、2月には家の中で転倒して骨折した。収入は自身の年金のみ。大規模修繕したり、自力でアパートを借りたりする余裕はない。「もう一度大きな地震が来たら…」と不安を抱えつつ「これが身の丈にあった生活。その時は仕方がない」とため息をつく。

 町はこうした在宅避難者や軒先避難者宅を訪問しているが、数カ月に1回程度で詳しい生活状況は把握できていない。東日本大震災の被災地で在宅避難者の調査を主導した仙台弁護士会の佐々木好志弁護士は「時間がたつほど過酷な生活に慣れや諦めが生じる。外部から積極的に働き掛けないと、生活再建の格差が広がっていく」と指摘している。

=2018/04/08付 西日本新聞朝刊=

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