「おまえと結婚してよかった」亡き夫との絆、庭の梅守るため自宅再建 熊本地震2年、妻の決断

仮設住宅の部屋に、梅の花や夫との写真を大切に飾る村田千鶴子さん=熊本県益城町
仮設住宅の部屋に、梅の花や夫との写真を大切に飾る村田千鶴子さん=熊本県益城町
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今年もきれいな花を咲かせた村田さんのしだれ梅=3月4日、熊本県益城町
今年もきれいな花を咲かせた村田さんのしだれ梅=3月4日、熊本県益城町
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 熊本地震の本震で夫恵祐さん=当時(84)=を亡くした村田千鶴子さん(84)は、熊本県益城町のテクノ仮設団地に暮らしている。62年間の結婚生活から、1人での生活となって2年。全壊した自宅跡に家を再建することにした。結婚記念樹として庭に植え、夫婦で大切にしてきたしだれ梅を守るための決断。「お父さんとの約束だから」。今も夫婦の心は一緒にある。

 前震翌日の2016年4月15日夜。「もう大きかとの来たから大丈夫だろう」と、恵祐さんと2人、自宅の片隅にろうそくをともして過ごした。自宅は前震で傾き、かろうじて姿をとどめていた。「家を解体して、平屋の小さい家を建てよう。おまえの友達がいつ来てもいいように中は豪華にしよう」。恵祐さんの提案に賛成し、1枚の布団に横になった数時間後、本震が起きた。がれきの下から救出された村田さんは「だんなさんが上にかぶさっていた。助けてもらった命よ」と救助隊から知らされた。

 「おまえと結婚してよかった」。いつも照れずに伝えてくれた恵祐さんとは毎日、夕食時にその日の出来事を語り合った。自宅から300メートルしか離れていない美容室への送り迎えも欠かさずしてくれた。地震の2週間前、長い付き合いの美容師に「おいが先におらんごつなったら、お母さんをよろしくね」と言ってくれたことをはっきり思い出す。「涙が枯れて出らんと言いよったけど2年たった今になって、涙が出っとです」

 庭のしだれ梅5本は、夫婦生活といつもともにあった。一緒に手入れをし、梅を見物に来た人たちと夫婦で話し、梅の前で一緒に写真に納まった。その1本は地震で全壊した自宅の解体に支障があって処分した。

 無事だった4本のうち1本も昨年7月の台風の際、周りの民家が解体されていたために暴風が直撃して倒れた。「なんとか枯らさないように」と、この梅の木を起こし、行政に頼んで水道を引き、仮設住宅からバスで通って水を与え続けた。今年3月、ほかの梅が満開となる中、3輪だけ、花を咲かせた。無事に生きていてくれた。

 新しい自宅は地鎮祭を終え、今月にも着工する。約束通り「平屋で、前の家の半分もない小さな家」。仮設住宅にある恵祐さんのお骨は、新しい自宅に一緒に帰ってから納骨するつもりだ。「倒れた梅も、来年はきっとたくさん咲いてくれるはずです」

=2018/04/14付 西日本新聞朝刊=

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