子ども安全管理士を全園に 幼児事故防止へ大村市が独自認定 保育士らに資格、NPOが養成へ

 「ボールを追いかけ滑り台にぶつかった」「ポットのお湯でやけどした」-。そんな幼児の事故を減らそうと、長崎県大村市がけがをしやすい状況や事故対応を学んだ幼稚園教諭や保育士を「子ども安全管理士」に独自に認定し、市内130カ所全ての保育施設に配置する試みを始めた。地元の特例認定NPO法人に養成を委託する。待機児童解消のため保育の受け皿拡充が進む一方、事故も増加傾向にあり、国も「先駆的で全国のモデルになる」(内閣府)と注目する。

 子ども安全管理士は、5歳の長男を河川事故で亡くした吉川優子さん(46)=神奈川県=が代表を務める一般社団法人「吉川慎之介記念基金」が東京などで養成講座を開いて認定しているが、自治体が独自に認証して全施設の配置を目指すのは初めて。

 内閣府子ども・子育て本部によると全国の幼稚園や保育園、放課後児童クラブで2016年に起きた事故は875件(死亡13件)で、17年は千件規模に達する見込み。

 保育現場の事故を減らそうと、大村市のNPO法人「Love&Safetyおおむら」(出口貴美子理事長)が国立研究開発法人の産業技術総合研究所と協力して市内で起きた事故原因を分析し、現場に反映させるプロジェクトに着手。

 吉川基金の講座を参考に管理士養成プログラムを独自に作り、昨年4月に市内の保育士や幼稚園教諭らを対象にした講座を開講。3月、計10回受講した38人に初の認定証を交付した。連携を打診された市も安全な子育て環境につながるとして公認、全域への「子ども安全管理士」配置を目指すことにした。

 小児科医院長でもあるNPO法人の出口理事長は「都市部では規制緩和や人口増で施設や受け入れ児童が増え、安全管理がおろそかになる危険がある」と指摘。同基金の吉川代表は「保育士が個人で学んでも職場の理解がなければ浸透しにくい。行政が支援する『大村モデル』が全国に広がってほしい」と期待する。

 1期目の安全管理士となった保育士溝田美里さん(44)は「保育士不足も課題だが、事故が起きにくい職場なら私たちも安心して働ける」と話した。2期目も今月19日に開講している。

=2018/04/21付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]