海の臨場感、職員が支える 福岡市のマリンワールド 人気の“裏側”に潜入

タチウオが傷つかないように慎重に展示水槽に運び込む職員たち
タチウオが傷つかないように慎重に展示水槽に運び込む職員たち
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レストラン「レイリー」ではイルカを見ながら食事を楽しめる
レストラン「レイリー」ではイルカを見ながら食事を楽しめる
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体重計に乗りポーズを決めるイルカ。「カワイイ」と子どもたちに人気だ
体重計に乗りポーズを決めるイルカ。「カワイイ」と子どもたちに人気だ
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 昨年のリニューアルオープンから4月で1年を迎えた水族館「マリンワールド海の中道」(福岡市東区)。昨年度の入館者数は108万人で、休業前の2015年度に比べると5割増とにぎわいをみせている。「まだまだ進化し続ける」(同館)という水族館。普段は目にできないバックヤード(裏側)などに“潜入”し、人気の秘密に迫った。

 JR博多駅からJR海ノ中道駅まで列車に揺られること約30分。駅を出てマリンワールドまで近づくにつれ、白い貝殻を思わせる建物が見えてきた。

 「ようこそ。どうぞこちらへ」。副館長の岩田知彦さん(51)が案内してくれたのは、九州南部の温暖な海を再現した巨大な外洋大水槽。高さ7メートル、幅24メートルでリニューアルを機に内容を一新した。キラキラと輝くイワシの大群、羽ばたくように回遊するマダラトビエイ…。60種2万匹超の魚たちが分厚いガラスの向こうで悠々と泳ぐ。

 水槽の底では、ウエットスーツ姿の男性がガラスを磨いたり、ブラシで岩のコケを落としたり…。「入社半年の職員で、潜水士の資格を取ったばかりです」と岩田さん。臨場感あふれる「海」の美しさは、職員のこうした地道な作業で保たれているようだ。

 次に案内されたのはバックヤード。初めての体験だ。磯のにおいが鼻をつく。職員たちがキラキラ輝く細長い魚を次々と容器へ移している。熊本県芦北町で捕れたタチウオだ。すばやく展示水槽に運び込み、優しく水に放つ。作業時間はわずか15分ほど。「うろこのないタチウオは体に傷が付きやすく、すぐに弱るので飼育や展示がとても難しい」(岩田さん)。そのため、国内でタチウオを展示しているのは、同館と宮島水族館(広島県)のみという。それでも展示にこだわるのは「美しい泳ぎを皆さんに見てもらいたいから」。バックヤードツアーは土日祝の1日4回、一般公開している(先着15人)。外洋大水槽を真上から見るなどさまざまなメニューが楽しめるという。

 屋外に出ると博多湾をバックにしたショープールでイルカの体重測定が披露されていた。観客席の前に新設されたステージには巨大な体重計が置かれ、トレーナーの合図で水中からイルカが滑るようにして計器の上へ。体を反らせぴたりとポーズを決めると、観客席の保育園児たちが「モデルみたい」と目を丸くしていた。

 一通りアトラクションを楽しむと、おなかが鳴りだした。昨年、1階にオープンしたレストラン「レイリー」に寄ってみる。ショープールに併設しており、気持ちよさそうに泳ぐイルカを眺めながら食事ができる。山口県下関市から家族で訪れた山近謙心ちゃん(2)は「イルカさん、大きい!」とはしゃいでいた。

 料理の食材はこだわりの九州産で約40種がそろう。目玉は1周年を機に考案された「シャークフィッシュバーガープレート」。宮崎産シュモクザメの切り身のフライはサメ特有の生臭さがなくあっさりとした風味。タルタルソースとトマトの酸味が食欲をそそり、あっという間に平らげた。

 料理に舌鼓を打ちながら、何が人気を支えているのか考えた。工夫を凝らしたさまざまなアミューズメント? それはもちろんだが、お客を喜ばせたいと願う職員たちの情熱なのだとあらためて思った。

〈メモ〉1989年に開館したマリンワールド海の中道は、2016年10月から半年間の大規模改修を経て17年4月12日に営業を再開。「九州の海」をテーマに展示内容を一新した。3~11月の営業時間は午前9時半~午後5時半。入館料は高校生以上2300円、中学生1200円、小学生1000円、4歳以上の未就学児600円。同館=092(603)0400。

=2018/05/17付 西日本新聞朝刊=

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