英海軍の男不起訴 酒に酔い、ビル損壊と傷害容疑 地検佐世保

 長崎県佐世保市で雑居ビルのドアのガラスを蹴り破ったとして建造物等損壊の疑いで逮捕された英国海軍の男(28)について、長崎地検佐世保支部が不起訴処分とし、釈放していたことが分かった。処分は23日付。さらに同市の男性カメラマン(43)の右手を傘で刺したなどとして、佐世保署から傷害容疑で書類送検されていたことも捜査関係者への取材で判明したが、同容疑についても不起訴処分とされた。

 男は英軍ドック型輸送揚陸艦アルビオンの乗組員。同艦は11日から佐世保港に入港し、24日に出港した。

 佐世保署によると、男は13日午前2時55分ごろ、同市本島町の雑居ビル10階でドアのガラスを蹴り破った建造物等損壊の疑いで逮捕された。その15分後、ビル近くのアーケード街でこの男に傘で突かれるなどした男性カメラマンが110番した。署によると男は酒に酔って暴れていたという。

 関係者によると男性は右手に3週間のけがを負い、カメラが持てず働けない状態。21日に英国軍から米軍の通訳を通して謝罪があり、示談金を受け取り被害届を取り下げたという。

 被害があったビルの管理会社にも男側から示談金が支払われた。

 長崎地検は不起訴処分の理由を明らかにしていない。

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「日本の検察は軍に及び腰」 騒動に悩む地元繁華街 「示談手打ちでは抑止にならず」

 英艦アルビオンが長崎県の佐世保港に入港した11~24日には、佐世保市内の繁華街で酒に酔った英国海軍の軍人が騒ぎを起こす様子が目立った。常駐して「綱紀粛正」を打ち出している米軍とは異なり、英国などの国連軍が一時的に佐世保を訪れる際、トラブルを起こすケースが多いという。

 英語のネオンサインが並ぶ外国人バー街。米兵が酒を飲むのは日常的な光景だが英艦の入港期間は様子が違った。外国人バーの店員(20)はその振る舞いについて「店のライトと窓を殴って割られた。トイレットペーパーをトイレの中に詰め込む人もいて、むちゃくちゃだった」。明け方、店の周辺にはビール瓶などが散乱していたという。

 別のバーの店主(36)は「アメリカ兵は門限もあり、ルールを守って飲んでくれる。初めて訪れる他国の兵士が暴れることが多い」と打ち明ける。今回、けがを負った男性(43)は「外国人によって佐世保に根付いた文化もあり、外国人が来ることに反対はしない。ただ今後もこのような騒ぎが続くと怖い」と話した。

 在日米軍の動向を監視する市民団体「リムピース」の篠崎正人編集委員は「軍隊が絡むと窃盗や傷害、器物損壊などの事件の起訴率がほぼゼロになる」と指摘。「示談で手打ちではいけない。犯罪をちゃんと処罰しないと犯罪抑止につながらない。日本の検察は明らかに外国の軍隊の犯罪に及び腰だ」と訴えた。

=2018/05/26付 西日本新聞朝刊=

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