朝倉再び九州豪雨級の雨なら 寺内ダム下流浸水の恐れ 昨年は渇水、被害なし

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 福岡県朝倉市の寺内ダムが平常時の貯水量で、九州豪雨並みの豪雨に見舞われた場合、放流量が膨らみ、下流域で大規模な浸水被害が起きる見通しであることが、ダムを管理する水資源機構と朝倉市の分析で分かった。昨年はたまたま渇水で貯水量が少なかったことが幸いした。浸水範囲は少なくともヤフオクドームの214個分に当たる約1500ヘクタールと推定。千世帯以上の住家があるが、梅雨対策の「死角」となっている。

 寺内ダムは有効貯水容量1600万トン。平常時は利水用に900万トンを貯水し、「150年に1度の雨」に対応した洪水調節容量700万トン分を確保する。豪雨時は流入量毎秒300トンのうち同180トンを貯水し、同120トンを放流する計画だ。ところが「数百年に1度の雨」とされる九州豪雨時の流入量は、この計画量を大きく超えた。

 水資源機構によると、昨年7月5日、ダムの雨量計は午後2時から2時間連続で時間雨量100ミリ超を観測。午後3時には流入量が毎秒300トンを超えた。午後4時10分には最大流入量同888トンを記録し、貯水量は急激に上昇した。

 渇水で約500万トンの空き容量があり、平常時より水位が約10メートル低かったため、洪水調節容量の約1・7倍に当たる約1170万トンを貯留。ダム下流の河川水位を最大3・38メートル下げられた。ただし、貯水位は同6日午前0時すぎ、安全に貯水できる「洪水時最高水位」(131・5メートル)まで残り57センチに迫った。同ダムの坂井勲前所長は「渇水だったから耐えられた。幸運だった」と明かす。

 同ダムは今年4月、平常時の貯水量で九州豪雨級の雨が降った想定のシミュレーションを実施。貯水量は洪水時最高水位を超え、放流量は最大で毎秒440・55トンに達した。

 朝倉市の恒吉徹・復興調整官は、この結果と国土交通省筑後川河川事務所の資料を分析。「ダム下流の佐田川は氾濫を避けられない。浸水域は朝倉市と同県大刀洗町にまたがる」と推定した。幹線道路も一部冠水し、救助や避難の妨げとなる恐れもあるという。

 今年5月下旬の同ダムの貯水量は平常通り。昨年深刻な被害を免れただけに、被災した地域の梅雨対策と温度差もある。恒吉調整官は「昨年、被害がなかったからといって安全とは言えない。危険性を正しく把握し、自主避難の判断に役立つよう地元説明会などで広く周知したい」としている。

=2018/05/28付 西日本新聞朝刊=

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