ビッグデータ訪日客23万人分析 九州観光ルート福岡、大分周遊が8割 北九州市調査

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 インターネットなどから得た訪日外国人約23万人分のビッグデータを分析したところ、韓国、台湾、香港から九州北部を訪れた外国人の主要な観光ルートは、福岡市内を周遊するか、福岡市から福岡県太宰府市や大分県由布市などを行き来している実態が浮かび上がってきた。調査は北九州市などが観光施策に生かすために実施。同市へは、福岡市を足場にした日帰り客が多い課題も見えてきた。自分たちの街へどう足を運んでもらうか。膨大な情報の中に潜むヒントを探し出そうとする、先進的な取り組みが進んでいる。

 北九州市は2017年度、山口県下関市などとデータ購入費を含む予算約2600万円を使い調査。韓国、台湾、香港からの観光客の動向をまとめた報告書として今月22日に公表した。

 旅行者の行動を把握するために使ったデータは(1)外国人が持つ携帯電話とNTTドコモのネットワークのつながりから得られた情報(約16万人)(2)スマートフォンの旅行アプリの使用履歴(約1100人)(3)ホテル予約サイトのアクセス内容(約7万人)-など。さらに信頼性向上のため、約2千人を対象に聞き取りアンケートも行った。

 例えば韓国人は、九州への出入国の窓口は福岡空港が年137万人規模と圧倒的に多い。その旅行先は福岡市を中心に福岡県内を回るルートが45%、同県と大分県を訪ねるルートが33%を占め、合計で80%近くになることが読み取れた。

 さらに福岡市外に出るルートでも、太宰府市や由布市の観光地まで足を運ぶケースと比べ、北九州市は半分以下。宿泊先の割合をみても福岡市が70・9%と圧倒的に多く、由布市9・9%と続き、北九州市は4・1%にとどまった。

 一方、北九州空港を利用する韓国人は北九州市に泊まるケースが多い。同市を日帰りで訪れた韓国人の消費額は1万4千円台。宿泊すれば、額はその約3倍に増える結果となった。

 北九州市観光課は「福岡市に宿泊する旅行者に、1泊でも多く北九州で泊まってもらうのが課題だ」と指摘。「韓国人は登山を好む。北九州周辺で登山を経験してもらえば宿泊にもつながる」と新たな観光ルートを模索する。東九州自動車道の開通で大分県とのアクセスも良くなり、市は北九州空港ルートで大分に向かう有利性もPRしていく考えだ。

■動向把握高まる必要性

 長崎大ICT基盤センターの一藤裕准教授(情報科学)の話 ビッグデータを自治体の観光政策に結び付けようという機運が全国的にあるが、実現しているケースはまだ少なく、北九州市は珍しい事例だ。地方ほど観光を産業の柱にしており自治体が客観的データを使い、観光客の動向を把握する必要性は高まっている。ただ、自治体にとってはデータ入手の費用が課題だろう。

=2018/05/31付 西日本新聞朝刊=

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