昭和の「ガラス万年筆」復活 女性ターゲット、海外販売も 大分の企業

当時の技法などを取り込み完成させたガラス万年筆「しずく万年筆うらら」
当時の技法などを取り込み完成させたガラス万年筆「しずく万年筆うらら」
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 昭和初期に普及し戦後に廃れた筆記具「ガラス万年筆」を、大分県豊後高田市の輸入雑貨販売「ワンチャー」が復活させた。やわらかく渦を巻いてペン先となるガラスの繊細なフォルムは当時の日本の高い技術力を物語る。同社は女性をターゲットに、今夏にも日本と台湾で同時発売する予定だ。

 同社によると、ガラス万年筆の歴史は、明治期に開発された「ガラスペン」までさかのぼる。ガラス製のペン先にインクをにじませて書くタイプで、書き味の滑らかさから欧米にも技術が広がった。ただ、万年筆のようにインクをペン本体にためることはできず、すぐに文字がかすれる難点があった。昭和に入り、物資不足から万年筆の金属製ペン先をガラス製に変えた「ガラス万年筆」が登場。国内で普及し、海外にも輸出されたが、戦後は廃れたという。ボールペンの普及などが要因とみられる。

 同社は昨年、当時製造された日本製ガラス万年筆が海外で高額取引されていることを把握。同社の本田恵里さん(39)は、ガラスのペン先の繊細さに引かれ「ガラスなら女性が買いたくなるものを作れると直感した」と言う。

 日本では現在、ガラスペンは市販されているが、ガラスのペン先と本体の接合が難しいガラス万年筆は設計図も残っていなかった。打開したのは、米国のクラシック万年筆愛好家が集まるネットのサイト。見つけた同僚の江藤雄次さん(64)は「日本で当時市販されていた多様なガラス万年筆の設計図があり、製作のめどが立った」と振り返る。

 5月末に完成した「しずく万年筆うらら」(3万円)は、長時間使っても疲れないようペンの本体を通常より細くし、利便性を考え一般的な万年筆のインクカートリッジも装着できるようにした。岡垣太造社長(52)は「需要が見込める海外にも売り込みたい」と意気込む。同社=0978(24)0588。

=2018/06/01付 西日本新聞夕刊=

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