「元気しちょった?」豪雨で離散、ご近所さん再会 みなし仮設で会食会 朝倉・杷木地区の民生委員ら企画

被災者らのテーブルを回り、笑顔で声をかける山口素子さん(中央右)=10日午後、福岡県朝倉市
被災者らのテーブルを回り、笑顔で声をかける山口素子さん(中央右)=10日午後、福岡県朝倉市
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 九州豪雨で被災し、民間アパートなどの「みなし仮設住宅」や親類宅などに散り散りになった人たちの会食会が10日、福岡県朝倉市で開かれた。集まった約140人はそれぞれ「ご近所さん」との再会を喜び合い、久しぶりのおしゃべりに花を咲かせた。企画した民生委員や児童委員たちは住み慣れた地域を離れた被災者への支援が行き届かず落ち込んでいたが、参加者の笑顔に手応えも。「またみんなの喜ぶ顔が見たい」と今後も続けていく考えだ。

 会食会の会場となったサンライズ杷木。単身の高齢者や夫婦、子ども連れなどが続々と訪れ、地区別に分けられたテーブルに着いた。知人を見つけると「元気しちょった?」と話し掛けたり、握手して再会を喜んだり。「あの日の水の音を思い出して今も眠れない」「『被災者』や『頑張らんね』という言葉を聞くと嫌な気持ち」などと気心の知れた知人同士、心の内を語り合う姿も見られた。

 同市杷木地区の民生委員らは月に数回、地域の高齢者らの見守りや弁当の配達を担っていたが、被災後は市外など遠方に点在するみなし仮設への訪問が難しくなり、弁当の配達も中断。主任児童委員の山口素子さん(66)らが一時、避難所で食事を提供したが、終了した昨秋以降「何も支援ができていない」と落ち込んでいたという。

 被災者が固まって暮らす仮設住宅団地に比べ、みなし仮設の人たちは孤立しがち。同じ境遇の民生委員もおり、グリーンコープ生協などと協力して会食会を開くことを決め、約300世帯に案内を出した。参加したのは約70世帯。「顔を合わせる機会は本当にありがたい」「また来たい」と開催に感謝の声が寄せられた。

 一方で移動手段がないため欠席するという連絡もあり、3分の2の世帯からは返信がなかった。参加者にも「顔なじみが近所にいなくて気がめいる」「することがなくて、家にこもりがち」などと悩みを漏らす人も。「きょう来ているのは、まだ前向きな人。来ていない同じ地区の人が心配」(63歳女性)との声もあり、支援の課題も浮かんだ。

 次回は秋以降の開催を検討中。民生委員らは「送迎するには自治体など他の支援が必要」「出席者に口コミで会食会の楽しさを広めてもらえないか」などと話しており、継続的な開催を検討するつもりだ。

=2018/06/12付 西日本新聞朝刊=

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